2013 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病モデルサル、脳におけるヒト変異型APP強制発現と老人斑形成
Project/Area Number |
23300155
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中村 紳一朗 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 准教授 (50307980)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 尚巳 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00326828)
西村 正樹 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 准教授 (40322739)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / 霊長類 / 疾患モデル / アミロイドβ蛋白 |
Research Abstract |
アデノ随伴ウイルス(AAV)-2にアルツハイマー病関連遺伝子のスウェーデン型(sw)アミロイド前駆体蛋白(APP)(swAPP)を組換え、HEK293細胞へのIn vitro感染を行ったところ、適切な導入効果が得られなかった。そこで他の血清型であるAAV-1を元にしてswAPPと人工タグ蛋白であるFLAGを組換え、コンポーネントを作り直した。HEK293細胞に導入した結果、細胞抽出蛋白を用いたウェスタンブロットでAPPの上昇、swAPPとFLAGの発現を確認した。また培養上清でELISAを行いswAPPからの分泌産生物であるアミロイドβ蛋白(Aβ)の分子種、Aβ40およびAβ42の上昇が認められた。新生仔および成齢マウスへの脳内接種を試み、ともに3ヶ月後に実験死とした。脳に肉眼的な変化はなかった。ウェスタンブロットでコントロール群に対して実験群はAPPの上昇とFLAGの発現を確認した。一方、両群ともにswAPPの明確なバンドは得られなかった。摘出蛋白を可溶および不溶分画にわけてELISAによるAβ40、Aβ42およびoligomer Aβを計測したところ、コントロール群に対して実験群は可溶分画のAβ40、Aβ42の上昇が見られたが、可溶分画のoligomer Aβ、不溶分画のすべてのAβ分子種に両群の差は見られなかった。PFA固定パラフィン包埋材料を用いた免疫染色で、コントロール群に対して実験群は、多数のAβ40、Aβ42陽性神経細胞が見られた。APPの陽性像に両群の差は見られず、swAPPおよびFLAGは陽性像が見られなかった。免疫染色で導入遺伝子産物であるswAPPとFLAGが見られなかったのは、組織材料のプロセスで変性した蛋白質に抗体の反応しなかったためと思われるが、ウェスタンブロットでFLAGが確認できたことにより、動物への導入は成功したと考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的遺伝子の、In vitroとマウスでのIn vivoでの導入を確認した。当初の予定であれば、サルへの接種を行っている時期であるはずだが、まだ実施できてないためやや遅れていると評価した。今年度の早々にカニクイザルへの接種を行って、PETによる生体内Aβ挙動の解析、マウスと同様の死後解析を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
カニクイザル3頭にswAPPを組換えたAAV-1を、脳定位固定装置を用い視床への脳内接種を行う。コントロールの3頭にはsham接種を行う。3ヶ月後、swAPPの分泌産生物であるAβに特異的に結合するピッツバーグコンパウンドを用いたPET-SCANにて、Aβの生体イメージングを行う。その後、病理解剖を行い、マウスと同じ試験項目にて導入産物および導入による病理組織学的変化を解析する予定である。
|