2011 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染症の病態形成におけるマクロファージの意義の解明
Project/Area Number |
23300156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
五十嵐 樹彦 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90467431)
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Keywords | エイズ / 疾患モデル / マクロファージ / リンパ球 / 抗ウイルス剤 / 減衰率 / ウイルス量 / 血液 |
Research Abstract |
高病原性SHIV KS661感染アカゲザルに接種8週後より抗HIV-1薬を経口投与した。投与により血中ウイルス量は急速な第1相及びそれに続く緩やかな第2相の減衰を示した後、約1000コピー/mlで安定化(第3相)した。 末梢血CD4陽性T細胞数は典型的な高病原性SHIV感染サルで見られるのと同様、急性期に圧倒的な減少を呈し、非治療個体では回復しないが、薬剤投与に伴って漸増した。 経時的に肺胞洗浄を行い、肺胞マクロファージを調製、階段希釈の後、感受性細胞と共培養しウイルス産生細胞の割合を算定した所、感染後ウイルス産生細胞率は急激に上昇し、治療開始時には約1割の細胞が感染性ウイルスを産生可能であったが、治療開始後ウイルス産生細胞率は急激に減少し、1/1000000細胞以下になった。肺胞洗浄液中のウイルスRNA量は抗ウイルス剤投与により一端検出限界以下に減少したものの、再び上昇し、血中ウイルス量または肺胞マクロファージウイルス産生細胞率の動態とは異なった動態を示した。 接種20週後(治療開始12週後)に投薬を中断すると、血中ウイルスRNA量は初感染時のピークと同等のレベルまで上昇した。治療期間中漸減したCD4陽性T細胞は血中ウイルスRNAのリバウンドと同調して急激に減少した。 従来、本ウイルスは高い再現性で典型的な高病原性SHIV病態を誘導していたが、本年度実施した感染実験では1/3の動物でのみ期待した病態を作り出す事が出来た。統計学的検定を行うために更に実験を実施する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去のSHIV KS661接種試験の成績から当該ウイルスを本研究計画に用いる事とし、同様に過去の成績に基づいてウイルス接種量も決定したが、実際に接種すると、典型的な高病原性SHIV感染病態を再現した動物が1/3であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度で作り出す事の出来なかった高病原性SHIV病態を更に2頭作り出し、今年度観察された事象が再現性があるか検討する。そのために、1.ウイルス接種量を今年度採用した1×10^4TCID50から1×10^6TCID50に増量する、2.候補サルから採血し、調製したリンパ球に試験管内でウイルスを接種、複製能の良好な個体を接種試験に供する。
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