2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞発症および冠動脈病変不安定化に関わるバイオマーカーの同定
Project/Area Number |
23300157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
塩見 雅志 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50226106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆 神戸大学, 医学研究科, 助手 (30135793)
石田 達郎 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00379413)
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Keywords | 心筋梗塞 / 冠動脈病変 / 血清マーカー / WHHLMIウサギ / メタボーローム解析 |
Research Abstract |
平成23年度の研究計画に基づき、予備実験と本実験を実施した。 予備実験に先立ち、高齢のWHHLMIウサギに冠動脈スパズムを誘発し、心エコー(本経費で購入)と心電図(既設)でウサギの心機能低下を評価できることを確認した。 予備実験では、正常ウサギ(7月齢、オス3匹)、若齢(6月齢、オス3匹、メス3匹)及び高齢(26-29月齢、オス3匹、メス3匹)のWHHLMIウサギを用いて、メタボローム解析、血清脂質値とリポタンパク脂質値の測定、心電図と心エコー(心機能の評価)を行った。メタポローム解析では、69項目について解析し、9項目がWHHLMIウサギと正常ウサギで大きく異なることが明らかとなった。高齢のWHHLMIウサギについては心臓の病理組織標本を作製し、心筋虚血病変の発生の程度、冠動脈病変の程度および不安定化した冠動脈病変の頻度について解析を実施している。また、若齢のウサギについては、心筋梗塞を発症するまで飼育を継続し、発症時期とメタボローム解析の結果との関連を検討する予定である。これまでの結果から、WHHLMIウサギを用いることによって、心筋梗塞/冠動脈病変不安定化に関する血清マーカーを同定できることが示唆された。 本実験では、同ののWHHLMIウサギを用いた加齢による血清マーカー候補の変化と心機能等を解析している。4月齢のWHHLMIウサギ(第1グループ:オス2匹、メス3匹および第2グループ:オス3匹、メス2匹)について、リポタンパク脂質の測定、心電図、心エコーを実施し、計測ごとの誤差をなくすためにメタボローム解析、リピドローム解析、リポタンパク酸化変性、等の解析用に血清を凍結保存した。第1グループについては8月齢における採血、測定も実施した。 来年度以降、リポタンパクの酸化変性を解析項目に追加し、解析に使用する正常ウサギとWHHLMIウサギの匹数を増加し、心筋梗塞/冠動脈病変の不安定化と関連する血清マーカーの同定を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験の結果、正常ウサギと心筋梗塞を発症する可能性が高いWHHLMIウサギとの間にメタボローム解析で大きな差異がある項目を確認できた。この結果は、本実験を継続することによって心筋梗塞/冠動脈病変不安定化に関する血清マーカーの同定が可能であることを示唆している。予備実験の結果を基づき、本実験を開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初の実験計画に基づいて順調に進行している。さらに、最近入手した情報によると、凍結保存した血清を用いてリポタンパクの酸化変性を定量解析できることが判明した。酸化変性したリポタンパクは動脈硬化の進行や不安定化に関与することが以前から示唆されていたが、信頼できる解析方法が乏しかった。来年度はリポタンパクの酸化変性についても解析項目に追加して実験を継続する。
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