2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児生体肝移植手術で得られる肝組織を活用したヒト肝型マウスの作製と解析
Project/Area Number |
23300162
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田上 昭人 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所・薬剤治療研究部, 部長 (60301800)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅登 東海大学, 医学部・基盤診療学系再生医療科学, 教授 (00164335)
|
Keywords | ヒト肝型マウス / 病態モデル / 肝胆道疾患 / 肝細胞移植 / 免疫不全肝障害マウス |
Research Abstract |
本研究では、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際に得られる摘出肝組織より肝細胞を分離・保存し、これを用いてヒト肝型マウスの作成を行うことにより、肝胆道疾患の病態モデルマウスを作成し、肝胆道疾患の病態解明や治療法開発に応用を図ることを目的としている。 本年度は、ドナー5検体、胆道閉鎖症13検体、肝線維症、糖原病Ib各2検体およびCPS1欠損症、カロリー病、糖原病IIIa、アラジール症候群各1検体の合計27検体より、肝細胞単離を行った。単離直後の新鮮肝細胞および凍結保存後融解した肝細胞を用いて、同一ドナー由来の肝細胞の凍結前後での生存率および薬物代謝能を検討した結果、凍結融解後の生存率が比較的良好な場合は、凍結前後での代謝活性の低下は認められず、一方で凍結融解後の生存率が著しく低下した場合には、代謝活性の著しい減弱が認められた。この結果から、凍結保存法の改良による凍結融解後の細胞生存率の低下を抑えることにより、単離直後の新鮮肝細胞と同様に凍結肝細胞の肝機能の維持が可能であると考えられた。また、単離した肝細胞を肝傷害重度免疫不全マウスであるuPA/NOGマウスへ移植し、健常ドナーおよび複数の疾患に由来する肝細胞を用いて、ヒト肝型マウスの作成に成功した。生着したヒト肝細胞は、アルブミン産生などの肝機能を有していた。これにより、代謝性疾患をはじめとする肝線維化の進行した疾患肝由来の肝細胞を用いてもヒト肝型マウスの作成が可能であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際に得られる摘出肝組織より27症例(ドナーを含む)で肝細胞を分離・保存を行い、疾患肝由来肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成にも成功しており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、肝前駆細胞の単離・保存を行い、これを用いてヒト肝型マウスを作成することにより、より効率の高いヒト肝型マウスの作成を検討する。また、疾患肝由来肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成を進め、ヒト肝型マウスの肝胆道閉鎖症疾患モデル動物としての有用性を検討する。
|