2012 Fiscal Year Annual Research Report
小児生体肝移植手術で得られる肝組織を活用したヒト肝型マウスの作製と解析
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23300162
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田上 昭人 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 部長 (60301800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅登 東海大学, 医学部, 教授 (00164335)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | ヒト肝型マウス / 病態モデル / 肝胆道疾患 / 幹細胞移植 / 免疫不全肝障害マウス |
Research Abstract |
本研究では、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際得られる摘出肝組織より分離した肝細胞を用いて、ヒト肝細胞を有するマウス(ヒト肝型マウス)の作成を行う。移植に用いるヒト肝細胞に凍結肝細胞とともに非凍結新鮮肝細胞や細胞表面抗原の違いに基づき分類した細胞分画を用いることにより細胞生着率の高い効率的な作製法の開発を行う。正常ヒト肝型モデルマウスに加え、病態肝組織由来の肝細胞を用いてヒト肝型マウスの作成を行うことにより、肝胆道疾患の病態モデルマウスの作成を試み、肝胆道疾患の病態解明や治療法開発への応用を図る。 本年度は、ドナー9検体、胆道閉鎖症20検体、肝線維症3検体、糖原病Ib 2検体およびCPS1欠損症、カロリー病、糖原病IIIa、アラジール症候群等より細胞単離を行い合計41検体より、肝組織の保存・肝細胞単離を行った。これら単離した肝細胞あるいは市販のヒト凍結肝細胞を用いて、肝障害免疫不全マウスへの移植実験を行い、肝臓への生着率の高いヒト肝細胞ロットを見出した。生着率の高い細胞群と低い細胞群を比較することにより、肝臓への生着性の高い細胞群の特性が明らかとなり、肝幹細胞の評価が可能となる。 また、胆道閉鎖症由来肝細胞の移植において、生着した肝細胞はアルブミン分泌、胆汁排泄能等を有しており、胆道閉鎖症において肝細胞自身はその成城であると推測された。今後さらに疾患由来肝細胞を用いたヒト化肝型マウスを解析することにより、肝胆道疾患の病態進行機構等が明らかになると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国立成育医療研究センターで施行している小児生体肝移植手術の際に得られる摘出肝組織より41症例(ドナーを含む)で肝細胞を分離・保存を行い、疾患肝由来肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成を行い、胆道閉鎖症由来肝細胞移植ヒト肝型マウスの解析に着手し、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、疾患由来ヒト肝細胞の単離を行うとともに、肝前駆細胞の同定・保存を行い、これを用いてヒト肝型マウスを作成することにより、より効率の高いヒト肝型マウスの作成を検討する。また、疾患肝由来肝細胞を用いたヒト肝型マウスの作成を進め、ヒト肝型マウスの肝胆道閉鎖症疾患モデル動物としての有用性を検討し、治療法の開発へつなげる。
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