2011 Fiscal Year Annual Research Report
固有脳リズム反応の検出と感性やストレスに関わる内的状態の抽出
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23300169
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
栗城 眞也 東京電機大学, 先端工学研究所, 教授 (30002108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 助教 (10366403)
豊村 暁 東京電機大学, 先端工学研究所, 助教 (90421990)
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Keywords | 生物・生体工学 / 脳リズム / ストレス / 定常反応 / 感性 |
Research Abstract |
好き嫌いなどの感性やストレスによる緊張などの内的状態を,脳神経の感覚/運動系の固有脳リズムに同調する刺激により生じる定常反応の変調・変化から評価することを目的としている.まず,聴覚皮質と皮質下の構造において40Hzリズム活動が変化を受ける可能性をfMRIで調べた.一定周波数のAM音を刺激として定常応答を誘発させるとき,左右耳で変調周波数を変えて錯聴(競合)状態での賦活を調べた結果,錯聴生成時には左の聴覚野の他に運動野・運動前野,左右頭頂小葉の関与が認められた.しかし,視床や脳幹の賦活は観測されなかった.以上から,内的な認知状態(錯聴)と感覚皮質や運動系領野の活動の関係を確認することができた. 視覚対象による生じる心理状態(好悪感情やnegative/positiveな印象)の推定を目的として,種々の情動画像(IAPS)を刺激とし,周辺視野に与えたフリッカ刺激(15Hz)による視覚誘発定常反応を計測した.その結果,negativeとpositiveな画像間で定常反応の振幅が有意に異なることが分かり,視覚リズム活動に被験者の情動ないしストレス的心理状態が反映されると推察された.また,コミュニケーション時のストレスを評価する実験方法を開発するために,MRI環境において,被験者と実験者が疑似的な対面を行いながら会話を行うシステムを構築した.パイロット実験を遂行した結果,対面質問条件では被験者の発汗量が上がると同時に,脳の賦活も上がる傾向が見られた.さらに,MEGを用いた対面会話のために実験環境の整備を行った.磁気シールドルームのドアを開放したまま計測が可能であるため,実験者との対面状態を保ったまま,口の動きによるアーチファクトを抑えながら被験者が「ええ」,「いいえ」を答える予備的な実験を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無意識的で個人多様性をもち客観化が困難な内的状態を脳リズムから検出する目的に対して,初年度に得られた成果は十分と考える.特に視覚系の定常反応で有意な差異が観測されたことは大きな成果である.他方,辺縁系・大脳皮質・視床間の連絡により定常反応が変化を受けるという着想(仮説)は,聴覚リズムを用いたfMRI実験では視床などの賦活が観測されなかったために検証されていない、理由のおもなものは,使用したfMRI機の性能(視床のように神経核が小さくて強度が低い信号に対する感度が足りない)によると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
上の達成度で述べた仮説の検証は,実験機器(高額)に依存する可能性が大であることと,研究の目的達成に必要不可欠ではないので,こだわらずに内的状態の検出に重点を置いて今後の研究を進める所存である.
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Research Products
(13 results)