2012 Fiscal Year Annual Research Report
固有脳リズム反応の検出と感性やストレスに関わる内的状態の抽出
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23300169
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
栗城 眞也 東京電機大学, 総合研究所, 教授 (30002108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 助教 (10366403)
豊村 暁 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (90421990)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 脳リズム / 情動 / ストレス / 定常反応 |
Research Abstract |
情動価をコントロールした視覚刺激として,IAP画像(国際情動画像システム)の覚醒度の値を一定の範囲内(4.3~5.3)に揃え,かつ輝度を一定として情動価のみを変化させた(0~9)画像を200枚用意した.定常反応の刺激には,IAP画像の枠(周辺部)を15 Hzでフリッカさせて輝度変調したものを使用し,MEG(脳磁図)によりランダムな順で画像を呈示しながら視覚定常反応を計測した.ここで情動価は,被験者毎に計測後に再認評価を行い,数値化結果によりpositive,neutral,negativeの3種に画像を分別した.その結果,negative画像の定常反応振幅がpositive画像より有意に大きい(p<0.05, n = 10)ことを確認し,画像の好き嫌いの情動価を定常誘発反応から推測できる可能性が得られた. 聴覚定常反応は視床・聴覚皮質の活動を反映する40 Hz応答のための刺激について種々検討し,刺激に対する慣れ(hanituation)による振幅低下を防ぐ短時間(1音の持続時間<1s)音列刺激を考案した.1音毎に周波数が変化する音刺激として連続した定常反応をEEG(脳波)信号で検出した結果,約400~100 Hzの範囲では振幅が一定となることを確認した.また,被験者の覚醒を保つために無声のアニメーション呈示の効果を調べ,定常応答の振幅に変化を与えないことが分かった.聴覚刺激に加え,皮膚の変位刺激による体性感覚誘発定常反応を内的状態の検出に使うことを目指してピエゾ素子の振動刺激装置と測定条件の検討を行った.その結果,10~20 Hzの一定振幅で指先を振動させることでMEG定常反応の検出が可能になった.また,fMRI計測を行い,複数の被験者に対して体性感覚野に賦活領域が認められる条件を確立した. 本研究で得られた成果は,論文誌,国際会議報告,国内学会等で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感覚系の固有リズムに一致する周期の反復刺激により定常応答を得る手法として,これまでにフリッカ刺激の視覚応答(15 Hz),振幅変調短音刺激の聴覚応答(40 Hz),手指の皮膚刺激感覚応答(10, 20 Hz)が観測できるようになった.視覚応答では,情動価の異なる刺激画像の周辺をフリッカさせてnegative画像による定常応答の有意な増大を確認したが,画像の輝度を一定とし,覚醒レベルを統制した条件でも生じることが示されたので,内的な状態の変化を抽出できたと考えられる.体性感覚と聴覚に関する計測実験は次年度の課題となるが,刺激条件が確定したので実験結果を得る上での問題点はないと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
どのような内的状態により聴覚野体性感覚定常応答が変化を受けるかを調べるのが主題となる.情動価の異なるIAP画像刺激に加え応答感覚と関係した状態として,体性感覚定常応答には生理的ストレス刺激や,聴覚定常応答には認知的ストレス刺激を試行する予定である.
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