2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリント高分子を使った神経システム内D-アミノ酸挙動解析ツールの開発
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23300180
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉見 靖男 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (30267421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長濱 辰文 東邦大学, 薬学部, 教授 (70145001)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キラル識別 / 分子認識 / バイオセンサ / ナノテクノロジー / 高分子 / アミノ酸 / 神経伝達物質 / 神経 |
Research Abstract |
アメフラシの食道神経節を電気刺激しながら口球神経節内の中枢パターン発生器(CPG)出力を検出した。細胞外液にD-アミノ酸酸化酵素を加えると、CPG出力の周期は明らかに低下した。この結果は、中性または塩基性D-アミノ酸が口球神経の咀嚼を司るCPGの活動を促していることを示している。しかし、口球神経節に豊富に含まれるD-セリンを添加しても、CPG出力の発生周期に関係は無かった。またD-セリンをアゴニストとするN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体の拮抗剤であるMK801の投与もCPGの出力に影響しなかった。そこで食道神経節に含まれる中性または塩基性D-アミノ酸の同定を試みたところ、D-アルギニンがD-セリンの3倍程度の高濃度で存在することが解った。次年度は、D-アルギニンがCPG出力に与える影響を解析することにした。 親水性の架橋性モノマーと疎水性の架橋性モノマーをブレンドして分子インプリント高分子固定電極を作製することによって純粋溶媒中のD-フェニルアラニンをキラル特異的に検出できることを見出した。さらにこの電極上の水の接触角が、鋳型の存在に依存することが確認された。また原子間力顕微鏡で表面を観察した結果、キラル選択を示す電極は、示さない電極に比べて粗いことが解った。次年度は、フェニルアラニン以外のアミノ酸のキラル識別能を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子インプリント高分子による純水溶媒系でのキラル識別は長らく困難とされたが、本年度の研究でそれを実現する条件が解ってきた。さらにアメフラシ口球におけるCPGという比較的単純な神経の活動においてもD-アミノ酸が重要であることが解ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
○フェニルアラニン以外のアミノ酸のキラル特異的なゲート効果を得るための分子インプリント高分子固定電極の作製条件を特定する。 ○アメフラシ神経節のCPGにおいて重要なD-アミノ酸を特定する。 ○鋳型に対する分子インプリント高分子ナノ粒子の粒径の応答から、キラル特異的なゲート効果のメカニズムを解析する。 ○神経内のアミノ酸を検出できる微小電極を開発する。
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Research Products
(7 results)