2012 Fiscal Year Annual Research Report
高発熱磁性ナノ粒子の新規開発と特異的集積法による電磁誘導癌治療への応用
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23300185
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
喜多 英治 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80134203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん温熱治療 / 磁性ナノ粒子 / ハイパーサーミア / 磁気異方性 / 保磁力 / ヒステリシス損失 / 表面修飾 |
Research Abstract |
この研究では、がん細胞を加熱殺傷する電磁誘導加熱癌治療実現を目的に、高い発熱を可能とする毒性の低いナノ粒子を開発し、がん細胞への選択的集積法を検討する。24年度は磁性ナノ粒子の粒径制御および交流磁場の効率的利用と発熱機構研究のため磁場印加装置をさらに改良を行い、動的磁化過程計測の準備を行った。 1【強発熱ナノ磁性材料の開発】:前年度開発した高発熱粒子[業績論文1]は、粒径が100nmと大きく、血管内移動には粒径の制御が必要である。生体印加磁場に配慮して保磁力を130 Oe程度に保ち粒径の減少を試み、育成時の条件を変化させて50nmクラスの粒径を実現した[学会発表5]。前年度磁場強度640 Oe 周波数110kHzの高周波磁場下で、約600W/gの発熱を確認したが[業績論文3]、さらに試験的に1700 W/gの発熱を450 kHz500 Oeの磁場下で確認した。 2【交流強磁場発生装置の改良と動的磁化測定】:発熱機構の解明を行うために、周波数と振幅を広範囲に変化できる交流磁場発生装置を整備している。前年度までに、20kHz -200 kHz,600 Oe の磁場発生を達成した。今年度は高周波側での高磁場発生を可能とするためソレノイドコイルを用いて、250k-800kHzで350-400Oeの振幅の磁場発生を可能とし、発熱機構の分離に成功した[学会発表2,4]。動的磁化過程測定用に試料空間を大きくとれる大型コアは冷却に問題があり、ソレノイドコイル利用が望ましいことが分かった。 3【磁性ナノ粒子の癌細胞への選択的付着と集積】:開発した磁性ナノ粒子への表面修飾を容易に行うため、Tetraehtlene Glycol を還元剤として用いて前駆体のα-FeOOHを作製する手法を開発した[業績論文2]。形状形成過程以後、乾燥状態を避けて合成を進行できる利点があり、表面修飾に有利である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周波数帯域の拡大については前年度20kHz -200 kHz,600 Oeを達成したが、平成24年度には250k-800kHzで350-400Oeの振幅磁場まで拡大できた。その結果、発熱機構の違いによって昇温特性に明らかな違いが見られた。これは磁場変化装置による成果であり、論文化を行っている。表面修飾については、多少遅れが生じているが、確実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子開発においては、方向性が定まっており、さらなる微細化を試みる。磁場印加装置の改良と共に動的磁化過程測定装置の調整を行う。当該年度に得られた発熱の周波数依存性、振幅依存性の測定デ-タ-から、発熱機構分離の議論を進め、論文化する。すでにがん細胞焼灼に使用可能な発熱特性が得られていると思われるので、マウスを対象とした実験を行いたい。
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Research Products
(10 results)