2011 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリーレンズを用いた高輝度単色マイクロX線源の開発
Project/Area Number |
23300186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 純 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (90302984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 慶之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (90160829)
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Keywords | キャピラリーレンズ / 陽子線励起X線 / 蛍光X線分析 / X線イメージング |
Research Abstract |
平成23年度は,金属薄膜を用いた準単色X線の発生実験,キャピラリーレンズを用いたX線集束実験,45度ビーム偏向電磁石の設計・製作を行った。薄膜標的には銅を使用し,これにタンデム加速器からの2.5MeVの陽子ビームを照射することで準単色のX線を発生した。X線のエネルギースペクトルをCdTe半導体検出器で測定し,銅から出る8keVの特性X線が支配的であることを確認した。また,発生X線量の銅薄膜厚さへの依存性を調べるために,様々な厚さの銅薄膜標的を製作した。薄膜が薄い場合は,陽子ビームが貫通し,測定に影響する恐れがあるため,銅薄膜の後ろにアルミニウム薄膜を加えた。アルミニウム薄膜の厚さは陽子ビームがちょうど貫通しない程度とし,アルミニウムによるX線の吸収が最小限になるようにした。CdTe検出器で測定したエネルギースペクトルから発生X線量を見積もり,数値シミュレーションの結果と比較した。その結果,薄膜厚さが20μm程度の時に発生X線強度が最大となることが分かった。次に,薄膜直後にキャピラリーレンズを配置し,X線の集束実験を行った。キャピラリーレンズの出口から様々な距離におけるX線の2次元強度分布をイメージングプレートにより測定し,設計通りの焦点距離が得られていることを確認した。これらと並行して,45度ビーム偏向電磁石の設計・製作を行った。最大で3MeVのエネルギーの陽子ビームを使用することを想定し,軌道半径350mm,中心磁場強度0.72Tとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,高エネルギー陽子ビームを用いた準単色X線の発生実験やキャピラリーレンズを用いたX線の集束実験を行った。また,本研究の遂行に必要な要素技術を開発や偏向電磁石等のインフラの整備もほぼ予定通り完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は製作した偏向電磁石のビームラインへの設置と動作試験を行う予定である。また,薄膜標的を設置するための真空容器の設計,製作を行い,新しい実験セットアップのもとで単色X線の発生・集束実験を行う。集束X線のスポット径を細線スキャニング法などにより測定し,X線エネルギーやキャピラリーレンズの幾何学的配置がスポット径に与える影響を重点的に調べる。
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