2012 Fiscal Year Annual Research Report
キャピラリーレンズを用いた高輝度単色マイクロX線源の開発
Project/Area Number |
23300186
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 純 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (90302984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 慶之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (90160829)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キャピラリーレンズ / 陽子線励起X線 / 蛍光X線分析 / 2次元元素マッピング |
Research Abstract |
平成24年度は,まずキャピラリーレンズによる準単色X線の集束試験を行った。厚さ30μmの銅薄膜に2.5MeVの陽子ビームを照射して裏面に放出される8keVの単色X線をキャピラリーレンズにより集束し,X線ビームの集束径をナイフエッジ法により測定した。20μm厚のタンタル薄膜をX線ビームに対して垂直に設置し,それを微動ステージにより25μm刻みで動かしながら,後方に透過するX線の強度をCdTe検出器により測定した。その結果,X線ビームの集束径は約250μmであることが分かった。次に,銅基板上にコバルトを格子状に真空蒸着したサンプルを作成し,マイクロX線ビームを用いた蛍光X線分析(XRF)法に基づく,2次元元素マッピングのデモンストレーションと検出下限値の決定を行った。コバルト薄膜の厚さはRBS法により事前に約42nmと測定された。コバルトのKX線の強度とバックグラウンドノイズのレベルから,検出下限は約2.3ngと見積もられた。サンプルをX-YステージによりマイクロX線ビームに対して動かしながら,発生する蛍光X線をSi検出器により測定し,サンプル上の元素分布を再構成した。2次元元素分布は蒸着されたCoの分布をよく再現し,その空間分解能は200~300μmであった。これはX線ビームの集束径とほぼ一致する。 上記と並行して,前年度に製作した45度偏向電磁石をビームラインに設置し,磁場の印加試験を行った。当初の設計通り,磁極中心で0.6-0.7Tの磁場を発生できることを確認した後,陽子ビームの偏向試験を行い45度方向に十分な強度の陽子ビームが輸送されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成24年度はキャピラリーによる準単色X線の集束メカニズムについて詳細に調べ,キャピラリー形状の最適化を行う予定になっていた。しかし,既製品のキャピラリーレンズが十分な性能を持つことが分かったためこのプロセスを省略し,平成25年度に予定していたマイクロX線ビームによる蛍光X線分析の試験を前倒しで行うことが出来た。一方で,45度偏向電磁石を用いたX線照射スタンドの建設が当初の予定より若干遅れており,使用する真空容器等の設計・製作を現在急ピッチで進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
キャピラリーレンズを用いた準単色マイクロX線ビームの発生と,それを用いた蛍光X線分析,高感度2次元元素マッピングの原理実証はすでに終了している。今後は,キャピラリーレンズの形状を変更することにより,X線ビームの高輝度化を目指し,測定時間の短縮や検出感度の向上に向けた技術的課題を明らかにすることを目指す予定である。
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