Research Abstract |
23年度はがん患者を対象とした基本撮像システムを構築した。本システムは撮像センサ,アスピレータ,アンテナ切り替え器,ネットワークアナライザ,制御用のPC,データ処理用のワークステーション(WS)から構成される。このうち撮像センサは,様様な乳房の大きさ,形に対応するため直径8,10,12cmの3種類のセンサを製作した。センサに埋め込まれたアンテナの数はシミュレーション評価に基づいて決定し,それぞれ6,18,30とした。アンテナ切り替え器は新たに製作し,アンテナ数6,18,30に対応可能とするとともに,小型化,低損失化を図った。その結果,帯域内での平均挿入損失は従来の12dBから6dBに改善され,体積も2/3となった。ネットワークアナライザは既存のPNA8358Aが老朽化していたので,新規にENA5071Cを購入した。ENA5071Cと6,18,30素子の撮像センサに対応するため,制御ソフトウェアを改修した。撮像処理ソフトウェアも6,18,30素子に対応できるように改修した。将来,高速化撮像の準備のため,アドバンテスト社製ボードネットワークアナライザの並列化を予定している。本年度は,アドバンテスト社製ボードネットワークアナライザの貸与を受け,基本評価のための制御ソフトウェアを製作した。現在装置の準備を終え,ファントムによる撮像評価を実施中である。臨床撮像は当初計画よりやや遅れ,24年5月の予定である。 24年度実施計画のダイバーシチによる高分解能実現のため,小型アンテナについて調査とシミュレーション評価を行い,広帯域ヴィヴァルディダイポールが有望であることがわかった。さらに,アーチファクト除去アルゴリズムを改善するとともに,電波伝播シミュレーションにおける周波数依存性媒質の影響の評価を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は引き続き基本撮像システムの動作確認・調整を行った後、がん患者を対象とした臨床撮像を行い,本方式の有効性を確認するとともに,人体撮像時の問題点を抽出する。解像度を向上させるため,偏波ダイバーシチを用いた撮像センサの設計・試作評価を実施する。当初,高速サンプラを用いて撮像時間の短縮を図る計画であったが,諸外国・大学での実施例を調査したところ現状では十分な性能を得る見通しは立っていない。また,ダイナミックレンジの問題も予想されることから,本研究課題ではモジュール型のネットワークアナライザの並列化の方向で臨む。貸与されたアドバンテスト社製ボードネットワークアナライザの評価を行い,必要な改善処置を行った後,パラレルシステムを構築して撮像評価を行う。
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