2011 Fiscal Year Annual Research Report
心室内渦流の定量評価による拡張機能評価とその臨床応用
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23300189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 敏 大阪大学, 医学研究科, 教授 (80393221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅沼 俊彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80379271)
和田 成夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70240546)
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
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Keywords | 渦流 / パターントラッキング / 拡張機能 |
Research Abstract |
1)コントラストエコー法を用いた心腔内血流可視化アルゴリズムの開発 心腔内に流入したマイクロバブルをトラッキングするために、当初は予備的検討で用いたパーティクルトラッキング法を使用したが、予想以上に誤認識が多かったため、Lucas-Kanade法とイメージヒ。ラミッドを用いたパターントラッキングアルゴリズムを新たに作成した。この手法を用いてコントラストエコー法を施行した麻酔開胸犬において血流の可視化を試みた。その結果、左室内の直進流と渦流が可視化され、流線表示も可能であった。 2)Echo-dynamographyを用いた検討 麻酔開胸犬を対象としてコントロール、β遮断薬負荷時、カテコラミン負荷時の心尖長軸像を取得し、また左室流入血流速波形より拡張早期血流速E波高を測定した。Echo-dynamographyを用いた解析に基づき拡張期の渦流の最大流量(Qmax[cm^2])、渦流の半値面積(s[cm^2])、渦強度(Qmax/S[1/s)、および左室内におけるその位置を計測した。同時に、左室に留置したカテーテル先端型マノメーターにより左室圧、dP/dt、tauを計測した。Qmaxはβ遮断薬負荷時、有意に減少し、カテコラミン負荷時は増加傾向にあった。Sはβ遮断薬負荷時に、減少傾向にあり、カテコラミン負荷時には増加傾向にあった。その結果、β遮断薬負荷時、カテコラミン負荷時に、Qmax/Sの有意な変化はみられなかった。渦位置も負荷によって変化しなかった。QmaxはEと良好な相関を示したが、左室収縮期圧、拡張末期圧、±dP/dt、tauとは相関がなかった。このことより、渦強度は血行動態の影響を受けにくい指標であること、拡張期渦流は左室流入血流動態の影響を受けることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、使用を予定していたパーティクルトラッキング法では精度の点で問題があることがわかったため、途中でパターントラッキング法に変更した。そのためマイクロバブルを用いたコントラストエコー法からの直進流、渦流の定量指標の抽出が遅れている。また研究期間中にecho-dynamographyのアルゴリズムにも変更が加えられたため解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コントラストエコー法を用いた心腔内血流可視化アルゴリズムについては、計測精度の向上を目指してさらなる改良が必要である。またアルゴリズムの変更が行われたecho-dynamographyについては、今後も細かい改良が加えられる予定であるが、根本箇所である解析ソフトは完成しており、Vector Flow Mapping (VFM)と名付けられた。今後はVFMを用いて引き続き精力的に動物実験を行い、さまざまな血行動態下での動物実験のデータを取得することに努める。
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