2012 Fiscal Year Annual Research Report
心室内渦流の定量評価による拡張機能評価とその臨床応用
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23300189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 敏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80393221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 成生 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70240546)
浅沼 俊彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (80379271)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 渦流 / 拡張機能 |
Research Abstract |
昨年度使用していたEchodyamographyは、心腔内流れを直進流と渦流の二つから成ると考え、流れ関数に基づいて両者を予測していた。しかしこの方法では仮定がやや大胆で、血流情報の細部が実際と異なる可能性が否定できないことが危惧されたため、今回全く異なった考えに基づき新たに血流情報を推測する手法が開発された(Vector Flow Mapping、VFM)。VFMは心腔内を数十の小区画に分け、その区画内血流量に連続の式を適用し超音波ビームに平行な血流速のみならずそれと直交する横方向の血流速を算出する方法である。横方向速度の初期値には心室壁の動きを非侵襲的に計測可能なスペックルトラッキングエコー法で求めた横壁からの壁速度を用いた。ベータ遮断薬で心機能を変化させた麻酔開胸犬8頭においてVFMを用い、拡張期最大渦流に対して渦流の強さ指標である循環(circulation [cm2/s])および心腔内渦流位置を検討した。流入血流は僧帽弁前尖部に大きな渦流を、後尖部に小さな渦流を形成し、前尖部渦流は拡張中期で最大となった。Circulationはベータ遮断薬により、有意に減少した(57.2 ± 8.1 vs. 41.5 ± 8.1 cm2/s,p = 0.0002)。渦流位置は負荷によって変化しなかった。また、circulationは拡張早期左室流入速と良好な相関を示した(r = 0.70, p = 0.0018)。しかし、circulationと左室収縮期圧、左室拡張末期圧、+dP/dt、-dP/dt、tauには有意な相関が得られなかった。以上より、VFMを用いて非侵襲的に左室内渦流を評価することが可能であり、拡張期渦流は左室流入血流の影響を受けると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年から導入したVFMを用いての検討であるが、昨年度使用していたEchodynamographyと同様の使い勝手であり、動物実験等のノウハウの蓄積と相まっておおむね順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
VFMの精度検討を行う必要がある。またVFMで得られた血流速度から壁のシアストレスや心腔内血流のエネルギーロスが計算できる。今後はそれらの数値を求めて血行動態指標との比較検討を行う。またこれらが病態を反映するかどうかも検討する。
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