2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全の新しい治療戦略:迷走神経刺激によるエコハート療法の開発
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23300191
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 高知大学, 教育研究部・医療学系, 教授 (90205930)
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Keywords | 循環器・高血圧 / トランスレーショナルリサーチ / 神経インターフェース |
Research Abstract |
研究目的 全体構想における最終目標は、従来の薬物療法に代わる画期的な心不全治療法として「迷走神経刺激(VNS)による心筋エネルギー効率の最適化療法(VNSエコハート療法)」を確立することである。 本年度研究方法および結果 1.VNSエコハート療法が心不全ラットの生命予後に与える影響 【方法】我が国に多い、高血圧性心不全と心筋梗塞後心不全のモデルをそれぞれ、Dah1食塩感受性高血圧ラットおよび冠動脈結紮Wistarラットで作成し、生命予後を調査した。生命予後を観察する期間を最長6ヶ月に設定した。症例数は、当該研究の実現可能性試験としておこなった予備実験結果から勘案し、非治療(プラセボ刺激)群を50匹、VNSエコハート療法による治療群を150匹に設定した。 【結果】迷走神経刺激は、モデル疾患に関係なく、心不全ラットの生命予後を著明に改善した。 2.VNSエコハート療法が心機能に与える影響 【方法】観察期間終了時に生存しているラットから心臓を摘出し、ランゲンドルフ潅流心標本を作製し、等容性収縮下で、左室の圧容積関係を計測した。 【結果】VNSエコハート療法は、無治療群と比較して、左室圧容積関係における容積軸切片が減少し、収縮期末エラスタンスは高値であった。VNSエコハート療法は不全心の心機能を改善する効果を持つことがあきらかになった。 本年度結論 VNSエコハート療法は、心不全をもたらす基礎疾患の相違に関わらず、生命予後を改善し、心機能を温存する作用を有することがあきらかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画通り、VNSエコハート療法が心不全ラットの生命予後および心機能に与える影響をあきらかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度得られた知見の基礎となる分子機構の解明を手がける予定である。
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