2012 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全の新しい治療戦略:迷走神経刺激によるエコハート療法の開発
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23300191
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (90205930)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 循環器・高血圧 / トランスレーショナルリサーチ / 神経インターフェース |
Research Abstract |
1.VNSエコハート療法が心不全ラットの運動負荷中心機能に与える影響の評価:慢性心不全の治療においては、生命予後の改善と同時に、運動耐容能の改善も重要な目標である。本研究小課題では、VNSエコハート療法が心不全ラットにおけるトレッドミル運動負荷中の心機能に与える影響を評価した。 2.VNSエコハート療法が冠循環および血管新生作用に与える影響の評価 (1)冠循環に与える影響の評価:VNSエコハート療法を受けた心不全ラットと未治療の心不全ラットの心臓をランゲンドルフ潅流標本にし、冠潅流の圧-流量関係を測定しながら、一酸化窒素や血管収縮薬に対する反応を比較し、内皮機能がVNSエコハート療法により改善するか否かを検討した。 (2)血管新生作用に関する評価:血管新生に関連すると考えられているvon Willebrand Factor(vWF)およびnicotinic acetylcholine receptor α7 subunit (α7-AChR)分子の不全心における発現や局在に与えるVNSエコハート療法の影響を免疫組織化学的に評価した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、画像の定量化を行い、微小循環リモデリングを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画通り、VNSエコハート療法が不全心の機械的・電気的・微小循環的リモデリングに与える影響をあきらかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、VNSエコハート療法の不全心の電気的・代謝的リモデリングに与える影響の評価を行う予定である。 1.(1)電気的リモデリングに与える影響の評価:膜電位感受性色素を用いた光学的マッピング法を用いて、VNSエコハート療法が不全心の心室興奮伝播に与える影響を評価する。6週間の治療後に心臓を摘出し、ランゲンドルフ潅流標本とし、膜電位感受性色素di-4-aneppsで冠動脈を潅流し、高感度・高速CCDカメラで活動電位の伝播を撮影記録し、活動電位持続時間や伝播速度を解析する。 (2)代謝的リモデリングに与える影響の評価:心筋細胞におけるエネルギー産生系である脂肪酸代謝と糖代謝に関与する酵素や基質トランスポーターの発現に与えるVNSエコハート療法の影響を評価する。 2. アセチルコリン(ACh)の電気的・代謝的リモデリングに与える影響の評価:迷走神経の電気刺激は、神経末端から放出されるAChを介して、心筋細胞に影響を与えると考えられる。そこで、ラット新生仔初代培養心筋細胞を用いて、虚血負荷、機械的負荷における心筋細胞のストレス応答に関する情報伝達系(Akt, HIF1-α, bad, bcl-2)やギャップ結合(Cx43)・イオンチャネルがAChによってどのような修飾を受けるかを分子生物学・組織化学的に検討する。また、AChが活動電位持続時間や伝播速度のばらつきに与える影響をより単純な系である自由配列心筋索を用いて評価し、不全心筋の電気的安定化におけるAChの役割をあきらかにする。研究に使用する装置はすべて現有設備であり、方法論の開発も完了している。
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