2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経機能再生におけるES細胞治療とリハビリテーションの相加効果
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23300201
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
弓削 類 広島大学, 保健学研究科, 教授 (20263676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋本 顕 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70432713)
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Keywords | 微小重力 / 細胞塊 / 神経再生 / 細胞移植 / リハビリテーション |
Research Abstract |
研究代表者らの研究から,マウスES細胞(embryonic stem cells:胚性幹細胞)を微小重力環境で神経細胞へ分化誘導を行うと,極めて効率的にネスチン陽性細胞の細胞塊が得られる可能性が示唆された.そこで本研究では,微小重力環境において,(1)なぜ細胞塊ができやすいか,(2)なぜ神経幹細胞へ効率良く分化するか,に関する詳細な解析を行う.本研究期間において,この2点を解明し,万能細胞からの神経分化誘導法として,微小重力環境が有用であることを示す.さらに,(3)微小重力環境で神経分化誘導したES細胞由来の細胞を,脳挫傷モデル動物に細胞移植し,その効果を検討する.また,(4)トレッドミル等を用いた運動によるリハビリテーションを併用した場合の相加・相乗効果を検討し,細胞移植後の運動リハビリテーションプログラムの基礎的データについて考察する. マウスES細胞を通常の1G環境あるいは微小重力環境を使って分化誘導し,7日間のRNA発現を経時的に検討した.1G環境で分化誘導する(1G群)と,未分化マーカーの発現は経時的に減少し,神経幹細胞の分化マーカーは分化誘導5日目頃から発現した.また,E-cadherinの発現は経時的に減少し,N-cadherin発現は経時的に増加した.分化誘導開始2日間を微小重力環境でその後3日目に1G環境に移して分化誘導する(CL群)と,神経幹細胞の分化マーカーの発現やN-cadherinの発現が強くなった.発現時期も1G環境と比較して早期になる傾向がみられた, さらに1G群とCL群の細胞を脳挫傷モデルに移植すると,CL群の方が運動機能の回復が早く,トレッドミル運動の併用でさらに促進されることが示唆された.脳損傷領域ではBDNFの発現が強くなっており,機能回復との関連が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,(1)なぜ細胞塊ができやすいか,(2)なぜ神経幹細胞へ効率良く分化するか,について検討することを目的とし,RNA解析にて,神経分化マーカーの発現に呼応して,N-cadherinやE-cadherinの発現が変化することが分かった.分化誘導した神経幹細胞を脳挫傷モデル動物へ移植する実験も進めており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
マウスES細胞を神経幹細胞に分化誘導する際,微小重力環境を利用すると通常の1G環境での培養と比較して,cadherinの発現が変化し,結果,神経幹細胞に効率よく分化したと考えられる.今後は,シグナル伝達を検討しメカニズム解明に近づける. また,移植実験でも微小重力環境を使って分化誘導した細胞を移植した群では,運動機能の回復が早まり,さらにトレッドミル運動を併用することで,機能回復がより早まることが分かってきた.今後,脳内でどのような変化が起こっているか検討する.
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Research Products
(2 results)