2012 Fiscal Year Annual Research Report
歩行リズムの相互引き込みを用いたパーキンソン病加速歩行の安定化支援
Project/Area Number |
23300209
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 美博 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20219752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 知仁 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (60387347)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歩行リズム / 相互引き込み / パーキンソン病 / 加速歩行 / 動的安定化 |
Research Abstract |
人と並んで歩くとき思わず足並みが揃ってしまう経験は身近なものである。本研究は、このような歩行リズムのインターパーソナルな相互引き込みによって、歩行が動的に安定化する性質を歩行支援システムに活用することを目標としている。具体的には、パーキンソン病患者に特徴的な歩行リズム生成障害としての「加速歩行」に注目し、その安定化の方法論を確立するために、以下の3つの研究項目を設定している。 ・研究項目1 パーキンソン病の加速歩行における安定性の評価方法の確立 ・研究項目2 歩行リズムの引き込みによって加速歩行が安定化するメカニズムの解明 ・研究項目3 臨床現場で活用できるポータブルな歩行安定化システムの開発 本年度は第2年度として、前年度の研究成果である研究項目1「パーキンソン病の加速歩行における安定性の評価方法の確立」を踏まえて、研究項目2「歩行リズムの引き込みによって加速歩行が安定化するメカニズムの解明」に取り組んだ。具体的には、一定テンポのリズム音を聞かせるリハビリ方法(Thaut et al.によって開発されたものでRASと呼ばれる)と研究代表者が提案するインターパーソナルな相互引き込みを用いる方法(Walk-Mateと呼ばれる)を比較した。その結果、歩行リズムの相互引き込みによる歩行安定化のメカニズムとその持続性の生成機構が明らかにされた。最終的には、非線形ダイナミカルシステムの立場から加速歩行を動的に安定化させるリズム生成モデルを構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目2の「歩行リズムの引き込みによって加速歩行が安定化するメカニズムの解明」において、持続性評価の方法の確立にやや遅れは発生したが、必要とされる水準を越える評価方法の確立に成功していることから、上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目2における時間的遅れを取り戻すべく、研究項目3の作業を推進することになる。ただし、研究項目1において確立された新しい評価方法および研究項目2において明らかにされた歩行安定化のメカニズムの知見を最大限に引き出す形で、今後の研究課題の遂行に活用したいと考えている。
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