2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報の知能的マルチモーダル補償システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
23300210
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (60377108)
|
Keywords | 医療・福祉 / 情報工学 / 認知科学 / 色彩工学 / バーチャルリアリティ / マルチモーダルインターフェース / 白内障 / 色覚異常 |
Research Abstract |
高齢者・色覚異常者・ロービジョン(弱視)者に日常生活を支障なく過ごせるよう環境の視覚情報を知能的に補償するマルチモーダルシステムを実現するために、平成23年度は高齢者と色覚異常者にとっての問題箇所を総括して若年色覚正常者に「見やすく」する可視化技術を開発し、シミュレーション画像を見るだけで問題箇所が容易に把握できるシステムを開発した。また、若年色覚正常者も含めて最適な配色を知能的に探索する補償システムを試作した。その際、カメラやディスプレイの正確な分光測色および環境の分光反射率を取得するために、ハイパースペクトルカメラを使用した。高齢者・色覚異常の視覚特性とそのメカニズムをモデル化・定式化し、その逆変換による補償を手始めに、視覚情報をどのように変換し、適切な付加情報を与えれば、各視覚特性を有する人々に対して適切な補償が行なえるかを実際の被験者を用いていくつかの心理物理学実験を行い、その結果を定量的に解析した。各問題箇所の出力結果を、カテゴリカル色認識特性等を考慮して適切に変換することで、高齢者や色覚異常者の視覚情報を補償するシステムを実現した。次に、非健常者である白内障患者の特性も定式化することで、その逆変換を定式化し、画像補償システムに導入した。また白内障のレベルを制御する技術も確立した。これらは、今後ロービジョン者の特性を考慮する際の基礎的な知見となる。また、HMDとカメラを用いて、フィールドワークも可能な視覚シミュレーション・補償システムを試作した。以上のことから、ある程度視覚情報を取得できるすべての人々に対して、環境の視覚情報をより見やすくする知能的配色補償システムが実現可能であることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画の内容をほぼ実施できた。コンテンツ処理技術の開発は今度行う予定である一方、HMDを用いたシステムは前倒しで実現した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ロービジョン者にも対応できるよう聴覚ならびに触覚を用いたマルチモーダルシステムの開発を推進する。また、複雑なコンテンツ等にも適用できるよう、補償アルゴリズムのロバスト化も推進する。
|