2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害程度及び受障時期別にみた視覚障害者の音源定位能の検討と移動支援装置への応用
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23300212
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
田内 雅規 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00075425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝文 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70144061)
大倉 元宏 成蹊大学, 理工学部, 教授 (30119341)
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Keywords | 視覚障害者 / 音源定位 / エコロケーション / 学習 / 単独歩行 / 移動 |
Research Abstract |
23年度は、(1)音源定位能の低い被験者に対して音源定位能向上のための訓練プログラムを開発し、実施した。また、(2)3次元音響シミュレーターを使った音源定位能計測を実現するための立体音響シミュレーターの導入と調整、(3)音源定位の客観的評価を低い被験者負荷で行う目的で脳波(ERP、事象関連電位)の高速な信号処理方法の開発、及び(4)音源定位に及ぼす背景騒音の影響について歩行パフォーマンスを指標に検討を行った。 (1)の音源定位能の学習においては、音源指示誤差を体性感覚を介してフィードバックする訓練を1週間程度行うことで大幅に向上することから、学習効果の存在することが確認された。しかし、訓練した音源位置では学習効果が顕著に表れるが、訓練しない位置については能力向上が現れなかった。このことから、音源定位学習は非訓練領域に拡大できない可能性が考慮され、その点について更なる検討が必要とみなされた。(2)の3次元音響シミュレーターによる音源定位能計測については装置をセットアップし、調整を行った結果、音源を被験者の周囲の任意の空間に提示することができた。本年度は特に水平方向について精密な調整を行い従来型実験が高速に実施可能な条件が整った。(3)の脳波(ERP、事象関連電位)を用いた音源定位能の客観的計測方法の開発については、2種類の検討を行った。一つはブートストラップ法と呼ばれる加算方式を応用したものであり、もう一つは頭皮上の各領野から導出した脳波の伝搬速度を考慮した調整後脳波の加算を用いるもので、両方法とも従来の計測の時間的限界を大幅に更新でき、かつ高い再現性のあることが認められた。(4)の背景騒音の歩行パフォーマンスに及ぼす影響については、晴眼者との視覚障害者の比較において、視覚障害者は周囲の騒音の影響を受けずに音源を利用した歩行が可能であることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初計画に則り概ね順調に推移している。(1)音源定位能訓練プログラムの開発、(2)3次元音響シミュレーターの導入と調整、(3)音源定位計測のための脳波(ERP、事象関連電位)の高速な信号処理方法の開発、及び(4)歩行パフォーマンスに及ぼす背景騒音の影響の検討の何れも一定の成果を得ているが、立体音響シミュレーターについては最終調整に計画よりもやや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、以下の4項目について検討を進める。(1)晋源定位能のフィードバック訓練による向上のプロセス、消去、強化等について検討を進める。(2)3次元音響シミュレーターを使った音源定位能計測の実用化に向けてシミュレーターの調整を進める。(3)脳波(ERP、事象関連電位)と高速信号処理プロセスを用い、迅速な音源定位能、反響定位能の客観的評価法について検討する。(4)音案内ビーコンの音源定位性確保に必要な条件について騒音等の面から検討する。
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Research Products
(3 results)