2013 Fiscal Year Annual Research Report
体重支持歩行訓練臨床応用のためのハイブリッドFES歩行補助装具の基礎的研究
Project/Area Number |
23300214
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山本 敏泰 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20412158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 陽一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30286661)
久野 弘明 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (40344618)
田川 善彦 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70122835)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 障害者 / 歩行補助装具 / 多チャンネル刺激 / M波 / 運動制御シミュレーション / 単純適応制御 / 多リンク歩行モデル |
Research Abstract |
(a)障害者におけるハイブリッドFES歩行時の足・股関節システムに関する研究 障害者は頸髄損傷(C5)不全麻痺者1名を対象にした。被験者の歩行は、非常にゆっくりとしたすり足歩行が可能な程度で実用的でないため、通常は手動車いすを利用している。上肢は手指に麻痺があるが概ね良好で、下肢は左脚に痙性が観察されるとともに麻痺が強い。実験に慣れるために、2週間のあいだに週2~3回程度の電気刺激を行った。歩行補助装具は、障害者で利用可能なモータのサイズと重量を考慮して装具の簡便化を試み、股関節用モータ駆動歩行補助装具を開発した。しかし、被験者は股関節の駆動が不十分ではあるが可能で、まず足関節駆動のみとした。股関節は、実験を進めて筋疲労対策が重要になってくる段階で導入する。足関節駆動実験を行い、電気刺激の有無で歩行パターンを比較した結果、刺激有りの場合はすり足歩行に改善が見られ、健常者のパターンに近い傾向を示した。また、下肢の筋骨格モデルにより、特に足関節周囲のヒラメ筋と腓腹筋の発生筋力を推定した。 (b)多チャンネル刺激筋EMGによる足関節インピーダンス制御の安定性に関する研究 筋力とその電気的な応答(M波)は、通常のEMGにおいてもそうであるが、厳密には必ずしも合致しないと考えられる。そのため、実験は、パターン的な相似性に着目して行った。多チャンネル刺激では、M波を計測するために刺激期間終了後13msec程度の被刺激筋の反応の影響を受けないように刺激順位を調整した。その結果、多チャンネルへの刺激の影響を除去することができた。また、M波は刺激時間が長くなると振幅が低下し、筋出力も低下するが、そのデータをフィードバックして刺激強度を調整することで、筋出力の低下を抑えることができた。 (c)受動歩行様式に基づく足・股関節運動制御シミュレーションの研究 まず、単純適応制御が適用可能かどうか検討するため、質点と仮定した上体移動のシミュレーションを行った。補償を重力と外力に加え、股関節をゆっくり運動させたときの追従制御を行った結果、関節モーメントに振動成分がみられ、適用やパラメータ更新則を再度検討する必要があった。また、多リンク歩行モデルの両脚支持期を含むシミュレーションでは、支持モーメントを算出した結果、膝折れしない関節モーメントが発生していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害者で、歩行可能性の評価を実施した。車いす常用者でも、下腿三頭筋を刺激して足関節を駆動することで歩行が可能であった。また、障害者にも利用可能にするため、装具の軽量化を図った。下肢の電気的応答(M波)によるフィードバックを行い、筋出力の安定化を実施し、筋出力低下を抑制することができた。シミュレーションでは、単純適応制御での適用やパラメータの再検討の必要性、多歩行リンクモデルでは膝折れしない関節モーメントの発生が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
障害者については、脳卒中片麻痺者を含め、臨床介入訓練を長期にわたり実施する必要がある。筋出力と電気的応答では、神経生理学的視点からの足・股関節駆動力制御則に関する検討が必要である。また、離床期・遊脚期における下肢の蹴り出し力とその効果を十分に見出していないため、精査が必要である。さらに、電気刺激装置や筋電位増幅器の小型化が必要である。シミュレーションの結果から、何を制御量に選択するかで計測系の構築が必要となるため、関節角度、ZMP推定、大腿部の随意および駆動力計測などを検討する必要がある。
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Research Products
(5 results)