2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300218
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北城 圭一 独立行政法人理化学研究所, 認知機能表現研究チーム, 副チームリーダー (70302601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末谷 大道 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40507167)
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Keywords | 脳 / 神経情報処理 / コンシステンシー / ゆらぎ / 脳波 / 非線形 / 力学系 / 知覚運動連関 |
Research Abstract |
不規則な同一信号の入力の繰り返しにより駆動される非線形力学系は、直感に反してある条件の下で、過渡的な期間の後に全く同一の時系列パターンを出力する。この現象はコンシステンシーと呼ばれる。コンシステンシーはレーザーシステムのような物理系、神経細胞のような生物系でも観察され、多くの非線形力学系に普遍的な性質と考えられる。しかし、大自由度の非線形力学系とみなせる神経集団のマクロなレベルでの活動、特にヒトの知覚運動連関にかかわる脳神経系がどの程度コンシステンシーを有するかについては明らかになっていない。本研究では脳の神経情報処理におけるコンシステンシーとその機能的意義の解明を目指す。 視覚課題を用いた脳波実験を行った。不規則な視覚的なゆらぎ入力に対する脳波の時系列解析を行い、同一ゆらぎ入力に対して脳波にコンシステンシーがみられるかを検証した。視覚刺激としてはチェッカーボードの輝度がガウシンアンホワイトあるいはピンクノイズ様に変化する8秒間の視覚刺激を用いた。それぞれのノイズで強度は5段階、実現値は2種類用意し、1条件で10回の提示を行った。取得した脳波データにオフラインで周波数帯域フィルタをかけ、ヒルベルト変換を用いた解析信号化によって瞬時位相信号及び瞬時振幅信号を抽出した。そして、抽出した脳波位相信号について、同一ゆらぎ入力に対する試行をまたいだ脳波位相同期を評価することにより、位相信号のコンシステンシーを評価した。その結果、高強度の入力条件においてはコンシステンシーの上昇がみられることが分かった。脳波のコンシステンシーを定量化する実験解析手法と方法論を確立し、脳波レベルのマクロな神経集団活動にコンシステンシーがみられることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波のコンシステンシーを定量化する実験解析手法と方法論を確立し、脳波レベルのマクロな神経集団活動にコンシステンシーがみられることを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
力学系としての性質のコンシステンシーが脳機能においてどのように役立っているかを認知、記憶との関係で検証する実験を計画する。認知、記憶ができた視覚入力系列とできない系列での脳波のコンシステンシーを比較検証する。 出力信号のコンシステンシーの定量化方法はほぼ確立した。しかし別の観点からみるとコンシステンシーは不規則な入力Xと非線形力学系からの出力Yの間にY=F(X)という関数関係が存在することを意味する。非線形力学系は自律的なダイナミクスを持つことからこの関数Fは非線形なものとなり、線形手法である従来の統計解析ではこのXとYの間に生まれる関係性を解明するのは困難である。研究分担者の末谷の再生核ヒルベルト空間論の枠組みで多変量解析を非線形に拡張したカーネル正準相関分析を用いて視覚入力Xと脳波出力、あるいは運動出力Yの間に生まれる非線形関数Fを具体的に構成し、一般化同期の枠組みで定量化を試みる。
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Research Products
(2 results)