2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックなスポーツ動作における体幹の捻転と軸の役割の究明
Project/Area Number |
23300228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深代 千之 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50181235)
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Keywords | スポーツ動作 / 3次元解析 / 体幹 / 回転軸 / 稔転トルク |
Research Abstract |
四半世紀前に代表者が国際学会ISBで指摘した「スポーツ動作における体幹の重要性(Fukashiro,1988)」は、現在、ダイナミックな運動のパフォーマンスを高める核として一般に認知されるに至った。これによって例えば、北京オリンピック陸上男子400mリレーの銅メダル獲得のように、日本選手が世界で戦える土台を作った。しかしながら、指導現場における体幹の利用や捻転軸の定義は未だ感覚に基づくものであり、自然科学的に明らかになっているわけではない。そこで、本研究では、走・跳・投・打・蹴などのダイナミックな体幹の動きを、次の2点から客観的に究明することを目的とする。1:各動作の肩と骨盤それぞれから回転軸を明らかにする、2:逆ダイナミクスを用いて、体幹の捻転トルクを解析する。 平成23 (繰越H24) 年度は、従来の回転中心の捉え方2種類(A:重心、B:瞬間回転中心)と、新しく提示した回転中心(C:並進速度に回転成分を含まない点つまり直進している点)を定義し、バッティングを模した動作での肩と骨盤の3種類の回転の中心A・B・Cに関して比較した。Aは剛体に作用する力を算出できるが、模擬動作ではBとCの中心位置に一致しなかった。また、B瞬間回転中心では、並進方向を正確に捉えることができなかった。C回転中心は、並進と回転運動の割合や両者の変化を求めることができる。しかし、CがAと一致しない場合、回転中心位置では運動方程式が成り立たないため、剛体に作用する力を計算できないというデメリットがあることがわかった。さらに、C回転中心の解析方法について、シミュレーションを用いて比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体幹の回転軸について、客観的な表示方法を提示できた。研究遂行の達成度は十分に評価されると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
客観的な回転軸と主観的な軸との関係を比較を行う。また、体幹を2・3セグメントに分けたモデルを仮定して、稔転における回転トルクを算出する予定である。
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