2014 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックなスポーツ動作における体幹の捻転と軸の役割の究明
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23300228
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深代 千之 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50181235)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ動作 / 3次元解析 / 体幹 / 回転軸 / 捻転トルク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、体幹を胸郭部・腹部・骨盤部の3セグメントモデルを用いて「走行」における体幹の動き、特にセグメントの長軸周りの回旋について検討した。運動学解析の結果、走行中は、非支持期において上部体幹結合部と下部体幹結合部が異なった回旋パターンを示し、右脚接地期においては中部体幹が上部体幹に対して、下部体幹が中部体幹に対して右回旋していることがわかった。回旋をセグメント毎に分析すると、下部体幹が体幹結合部の回旋と同様に右回旋するのに対して、上部体幹は左回旋していた。このことは、右脚接地期に体幹の「捻れ」が起きていることを示している。回旋の方向の相互相関分析から下部体幹は下肢の動きに連動しており、ストライドの増大に体幹の回旋角度が影響していることが考えられた。 逆動力学解析の結果、右脚接地期について、上部および下部体幹結合部で右回旋トルクが発揮されていた。また、パワーについては右脚接地期前半で正のパワー、後半で負のパワーが発揮され、その正負が逆転する接地期中盤が、遊脚である左脚の角速度のピークと一致した。このことから、走行中の片脚接地期の体幹の回旋には、遊脚を引きつける作用があると推察された。上肢との関連としては、前述の遊脚の屈曲角速度が最大になる時点で、反対側の肩関節の屈曲のパワーが正の最大値となっていたことから、遊脚の引きつけと同時に積極的な肩関節の屈曲を行うことが体幹の回旋を生み出し、また走行中の身体重心における長軸周りの角運動量の相殺に貢献していることが示唆された。非支持期については、セグメントの角度変化は小さく、その上で上下の体幹結合部では右回旋トルクが発揮され、仕事量は正となった。非支持期は遊脚引きつけの開始局面であることから、空中期とも呼ばれる非支持期においては、体幹が下肢に先行してトルクを発揮し下肢の運びを助ける働きをしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歩・走の移動運動における体幹の運動学的・運動力学的特徴が明らかにされた。
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Strategy for Future Research Activity |
歩と走の体幹の役割について、捻転トルクおよび回転軸の観点から比較検討する。
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