2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300233
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
木内 明 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (70298181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷釜 尋徳 東洋大学, 法学部, 准教授 (40527933)
石井 隆憲 日本体育大学, 保健医療学部, 教授 (70184463)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 武道 / 柔術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の4年目となる26年度は、それぞれの分担者がこれまでの研究成果に立脚し、昨年度まで調査を進めてきた対象社会にて補充調査や追跡調査等によって情報を補完し、理論化のために必要な条件を整えることに努めた。基本的に調査対象社会と調査対象とする武道は変えることはないが、理論化の考察過程で、比較対象のため、必要に応じて近隣社会へと調査地域を拡大させるケースもあった。 木内は昨年までの韓国における中国武術に関する調査から、中国武術が韓国社会にいかに伝えられ、韓国の人々の間でどのように受容されて実践されてきたのかを明らかにしてきた。その過程で、台湾に伝わった中国武術の変容のスタイルが、韓国に伝わった場合と比較可能であること着目し、台湾において中国武術の伝播状況と変容のスタイルについて調査を行った。 石井は、前年度までベトナム社会における空手の調査を行ってきたが、26年度は、ベトナムよりも後に、組織的に、スポーツとしての武道が伝えられたミャンマーに焦点をあてて調査を行った。ミャンマーでの武道はベトナムに比べ一般化している度合いが低く、変容においても初期段階にあり、そのステージにおける変容のありようを知ることにより、アジア社会における武道の変容の全貌を総合的に捕えようとしてのものである。日本の柔道や空手などの武道がどのようにミャンマー人に認識され、実践されているのかについて国家代表チームを中心にフィールド調査を実施した。 谷釜は、日本からブラジルに伝わりブラジルで独特の変容を遂げたグレーシー柔術が、再び日本に流入した経緯を文献から明らかにする作業を続け、さらにその間の様々な文化的変容について分析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各分担者間がフィールド調査における成果をもとに変容システムの理論化を模索する段階にある。 木内が当初より調査を行ってきた韓国の気功に関する変容の調査については、歴史的な変遷を踏まえたその変容のシステムについて、次第にまとまりつつある。しかしながら、中国武術が台湾に伝播した後の台湾社会の受容の様相や変容の実態については、予想よりはるかに多様な状況が展開していたため、もうしばらく時間がかかる見込みである。 石井が行っていたベトナムの空手に関する調査は、フィールド調査による分析から変容システムに関する一定の成果は得られている。 谷釜もまた、グレーシー柔術の歴史的な変遷に関する文献調査は終わり、現在は変容システムの理論化の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はそれぞれの調査を一筋にまとめ、昨年度以上に研究会の頻度を多くし、研究グループとして研究成果や情報を共有しつつ、理論化の完成を目指したい。とりわけ6~7月中に2回ほど研究会を開催し、今年度の最終的な補完調査で収集すべき情報を研究分担者間で確認しておきたい。 木内は韓国の気功の変遷と変容に関する報告書を年度内にまとめて、できれば3月までに、遅くとも来年度の前半には学会誌に投稿する。石井もミャンマーに伝播した武道について、その変容の独自性について、年度内に文章による報告を計画している。 また、3月に3名共同での研究発表を企図しており、早いうちにそのプレゼンテーションの準備等に着手したい。
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Research Products
(1 results)