2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の時計遺伝子リズムにもとづく運動処方の最適タイミング:時間運動療法の意義
Project/Area Number |
23300242
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70147495)
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Keywords | 脂肪細胞 / 時計遺伝子 / 運動 |
Research Abstract |
当初計画では実験動物としてC57BL/6Jマウスを用いる予定であった。しかし,サンプル数の確保と個体数削減を同時に成立させることに加え,スポーツ生理学における動物実験の成果はラットが多いため,過去の文献と比較検討するためにラットを用いて研究を行った。本年度では,時計遺伝子と出力遺伝子の発現プロファイルの収集を目的として,明暗サイクル(LD)条件の消灯時刻をZeitgeber Time (ZT)12、DD条件における行動開始時刻をCircadian Time (CT)12 と定め,皮下および内蔵の脂肪組織のサンプリングをZT/CT12 から4時間ごとに6点で行い,時計遺伝子(脂肪組織においては出力遺伝子を含む)の発現をreal-time PCRによって測定した。摂食は時計遺伝子リズムに影響を与えることから,本研究ではすべての実験系で動物の給餌時間を決められた時間に行なった。その結果,時計遺伝子において,bmal1遺伝子とper2遺伝子の明瞭な日周周期のリズムが確認できた。前者のmRNAの発現量は暗期に上昇し、暗期に減少した。後者は前者とは対照的な発現変化を示した。そして,時計遺伝子群の一部で4 時間周期の正弦波との相関係数に有意な関係があることが分かった。以上の知見は本研究の目的を達成する上で重要な基礎的データとなるとともに,研究の進展に伴い栄養や老化に関連する知見も得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の当初目的は大きく2つあった。1つ目は,高脂肪食摂取による肥満動物の作成と時計遺伝子発現パターンの変化を検討することであった。高脂肪食摂取による肥満動物の作成は動物実験室の管理上の問題から行えなかったが,通常飼育ラットを用いた実験で,当初目的であった数理モデルの解析に必要なデータを収集し得た。その結果,時計遺伝子群の一部で4 時間周期の正弦波との相関係数に有意な関係があることが分かった。また,第2の目的であった脂肪細胞の時計遺伝子群と出力遺伝子との関係について,当初目的を達成するに十分な結果を得ている。以上のように,一部の実験は行えなかったものの,研究全体はおおむね順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食摂取による肥満ラットで検討するためには多くの個体数が必要となる。しかし,研究を進めていく中で,過栄養状態が脂肪細胞の時計遺伝子と出力遺伝子のクロストークを検討するためには,3T3L1細胞を用いて細胞培養を中心に行うと効率的であることが分かった。そこで,次年度以降は3T3L1細胞を用いた基礎的実験を充実させ,in vivoの実験に着手する予定である。これは,実験動物の削減という点でも有意義である。
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Research Products
(2 results)