2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の時計遺伝子リズムにもとづく運動処方の最適タイミング:時間運動療法の意義
Project/Area Number |
23300242
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70147495)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / 時計遺伝子 / 運動 |
Research Abstract |
本年度は,3T3L1細胞,脂肪前駆細胞および脂肪細胞において,発光色の異なる2種のルシフェラーゼ(luc)遺伝子をレポーターとしたマルチカラー lucアッセイ系を立ち上げ,時計遺伝子と出力遺伝子間の時計機構ネットワークを解析した後,そのネットワークに及ぼす運動の影響を明らかにすることを目的としていた。発光色の異なる2種のルシフェラーゼ(luc)遺伝子をレポーターとしたマルチカラー lucアッセイ系については,3T3L1細胞および脂肪前駆細胞において,良好なアッセイ系を立ち上げることに成功した。さらに時計遺伝子(bmal1遺伝子とper2遺伝子)と出力遺伝子の発現リズムを検討したところ,clock遺伝子とpgc1-α遺伝子、per2遺伝子とpparγ遺伝子に有意な正の相関関係が認められた。また,ミトコンドリア合成に関連するpgc1-α遺伝子と脂質・糖代謝に関わるpparα遺伝子の両者で正の相関関係が認められ,同調して脂肪酸酸化関連遺伝子の発現を促進していることが示唆された。この知見を基盤として,通常飼育ラットにおいて運動の影響を検討したところ,運動をper2遺伝子発現のボトムの時点で行わせると,12時間後ならびに24時間後のレプチンmRNA発現が対照ラットに比較して低下し,per2遺伝子発現のピーク時で運動を行わせると,12時間後ならびに24時間後のレプチンmRNA発現が対照ラットに比較して増加することが分かった。以上の知見は運動を行うには最適な実施タイミングがあることを強く示唆し,本研究の目的を達成する上で重要な基盤的データとなった。以上の研究に加えて,脂肪分解機構や栄養の影響についても検討したところ,本研究の遂行に進展をもたらす有用な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的はおおむね順調に達成できた。すなわち,3T3L1細胞および脂肪前駆細胞および脂肪細胞において,発光色の異なる2種のルシフェラーゼ(luc)遺伝子をレポーターとしたマルチカラー lucアッセイ系を立ち上げ,時計遺伝子と出力遺伝子間の時計機構ネットワークを解析できたことと,時計遺伝子群と出力遺伝子の発現リズムの相関,ならびにそのリズムを基盤とした運動の効果の検討である。しかし,学術雑誌の投稿には未だデータの蓄積が十分ではないため,公表は次年度以降の研究に持ち越された。一方,脂肪分解機構や栄養の影響に関する知見は公表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,(1)前年度に確立した3T3L1細胞およびC2C12細胞を用いたマルチカラー lucアッセイ系(発光色の異なる2種のルシフェラーゼ(luc)遺伝子をレポーター)において,様々なホルモンや栄養因子が時計遺伝子と出力遺伝子間の時計機構ネットワークに及ぼす影響を解析し,(2)(1)で得られた基盤的知見を元に,明暗リズムを代えた条件下の動物に対する運動の影響を解析する予定である。
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Research Products
(5 results)