2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛田 渉 東北大学, 高等教育開発推進センター, 名誉教授 (10142944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 建文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375001)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 尿中バイオマーカー / 生活習慣病 / 高血圧 / アンジオテンシンノージェン |
Research Abstract |
本研究の目的は、尿検体から生活習慣病マーカー、生活習慣の指標となる物質の同定を目的としている。前年度に新入生健康診断で回収した尿を用いて炎症マーカーであるMonocyte Chemotactic Protein-1 (MCP-1)、酸化ストレスマーカーであるチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、レニン・アンジオテンシン系の活動指標となるアンジオテンシノージェン(AGT)、カルボニルストレスと関連のあるカルボニルの尿中への排泄量をELISA、HPLCで測定を行い、生活習慣病の一つである高血圧との関連を調べた結果、尿中マーカーが生活習慣病の早期スクリーニングに有用であることが示唆された。そこで今年度はこれらの結果を踏まえ、さらなる統計解析を行った。BMI25を基準に正常群と肥満群に分け、重回帰分析を行ったところ、正常群では有意な独立交絡因子がないのに対し、肥満群では尿中MCP-1、AGT排泄量が有意に収縮期血圧(SBP)と関連があることが分かった。そこで対象者を若年者だけではなく、高血圧患者、糖尿病患者および腎機能障害患者が含まれている一般住民を対象に同様の検討を行った。そこで市民健診で得られる尿検体を回収し、これらの尿中マーカーを測定し、各病態との関連を調べた。この検診では、75歳以上の高齢者も含まれている。1717名の尿を回収した中から、無作為に434名(男性:204名、女性:230名)の尿を抽出し、尿中TBARS、AGT、MCP-1排泄量の測定を行った。これらの尿中マーカーと血圧140/90 mmHgを基準にして血圧正常群、血圧高値群の2群に分けて関係について調べた。その結果、男女別、全体においても尿中AGT排泄量が多い人ほど、血圧が有意に高いことが分かった。今回の結果は、尿中AGT排泄量が生活習慣病、特に高血圧の場合の早期スクリーニングに有用であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的では高血圧患者・糖尿病患者および腎機能障害患者を対象として尿検体を回収する予定であったが、対象者を疾患患者だけではなく、若年者ではない健常の一般住民を対象とすることで従来の計画通りにスクリーニングに有用なマーカーであるかを検討することができた。ただ血圧以外についての検討はまだ終了してないため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度では尿中MCP-1、AGT、TBARS排泄量について測定は終了し、血圧との関係について検討を行ったが、尿中カルボニル排泄量に関しての評価が終わっていないため、25年度で尿中カルボニル排泄量について評価を行う。さらに高血圧以外の糖尿病や腎障害と尿中マーカーの関連についても検討を行う。当初の計画において、動物を用いて尿中物質の動態を調べる予定であったが、これまでに早期スクリーニングに有用な尿中マーカーが絞られているため、今後は若年者の定期健康診断で得られる結果と尿中マーカーを比較し、尿中マーカーの動態を検討して、スクリーニングに有用なマーカーを同定する。
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