2012 Fiscal Year Annual Research Report
衣服に付着した体臭成分の分析と不快臭が快適性に及ぼす影響の評価
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23300266
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
永井 伸夫 文化学園大学, 服装学部, 教授 (80207969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 照子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (30060817)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 体臭 / 衣環境 / ガスクロマトグラフ質量分析 / 皮膚細菌叢 / 皮膚性状 / 自律神経機能 / ストレス評価 |
Research Abstract |
本研究では,衣服および靴下,枕カバー等,ヒトが身に着ける広範囲の素材について,そこから発生する臭気成分を包括的に分析し,これらがヒトに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 平成24年度は,日常生活において毎日着用するが洗濯頻度の少ない寝衣に着目し,これに付着した体臭成分を分析すると共に,体臭成分と皮膚表面の性状や皮膚細菌叢との関連性についても検討した。被験者は健康な女性4名(22歳)と男性4名(52±3.2歳)を対象とし,試料には長袖Tシャツを用いた。毎日6~8時間,就寝時に着用し,指定した日(1, 3, 7日後)に,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS QP-2010)および平成23年度に購入した集気装置のサーマルディソープションシステム(TD-20)を用いて成分の分析を行った。また同日に女性パネル4名に対して,12形容詞対5段階SD法による官能評価を行った。皮膚性状については背部,胸部,顔面の角質水分量,油分量,pHを油分・水分・PH計(Courage Khazaka Co.)を用いて測定した。皮膚細菌の検出は,背部の皮膚表面から拭き取り法によって採取し,アピ細菌同定検査キット(シスメックス株式会社)を用いて同定した。 GC/MSによる分析の結果から50種類以上の成分が検出された。主な臭い成分ではアルデヒド系化合物等の炭化水素であった。また日数の経過に伴いクロマトグラムのピークは増大していた。官能評価では,「爽快感の欠如」と「青臭さ」の評価が高くなり,分析から検出されたアルデヒド系化合物が不快感に繋がることが示唆された。皮膚性状との関連についても,男性では皮脂が多く,これらに由来する臭い成分の検出数が多いことと相応していた。また,皮膚表面から検出された細菌は、ほとんどがStaphylococcus epidermidisであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,衣服および靴下や手袋,枕カバー等,ヒトが身に着ける広範囲の素材について,そこから発生する臭気成分を包括的に分析することを目的とし,研究を遂行している。平成23年度においては,申請により購入したサーマルディソープションシステムをGC/MSに追加設置し,分析のための調整に時間を要した。平成24年度は,試料として,マフラー,帽子,靴下,バスタオルなど,日常生活において必須であり,比較的洗浄の頻度の少ないものを対象として分析を行ったが,明確な臭い成分の検出が得られず,試行錯誤することにより,サンプル処理の方法,分析条件の検討を行うことにより,成果を得るに至った。平成25年度は,さらにサンプリングの条件等検討しつつ,臭いがもたらす環境の分析とその影響について,検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的研究方針は当初の計画により遂行していく方針である。衣服等から発生する臭気成分をGC/MSおよびサーマルディソープションシステムを用い,集気・採集,濃縮し,微量な成分に至るまで包括的に分析する。得られた結果から,スクリーニングされた体臭成分について,体臭成分が身体におよぼす生理学的・心理学的影響を評価するため,各種の生体ストレスマーカーの測定を行う方針である。分析において,試料からの周期成分の採取において検討を要する点もあり,この点を考慮して臭気成分の捕集等にシリカモノリス捕集剤を用いる等の検討を加えつつ,研究を遂行していきたい。
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Research Products
(2 results)