2011 Fiscal Year Annual Research Report
オンデマンドファッションを利用したユニバーサルファッションの実現
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23300267
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Research Institution | Kyoto Women's Junior College |
Principal Investigator |
渡邊 敬子 京都女子大学短期大学部, 生活造形学科, 准教授 (80369652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 あおい 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10230111)
高部 啓子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00206872)
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Keywords | 車いす利用者 / 衣服設計 / オンデマンドファッション / 3次元計測 / CAD |
Research Abstract |
個人の身体を3次元計測し、これを仮想空間内でボディーを使用して型紙を作成し、工業生産する"オンデマンドファッション"によって、障害者用のスーツが製作できるか、またそれを行うためにどのような課題があるかを検討することを目的とした。本年度は、高校生女子3名を対象に実験を行った。まず、スーツの動作のためのゆとり量を検討するため、車いす利用者独特の動作によって体表面がどの程度変化するのかを明らかにした。被験者は若年女性計15名で、右体幹部に格子状の基準線を描き、5つのポーズで3次元計測を行い、基準線の長さを算出した。車いすを操作するために腕を後ろに引くポーズでは、前腋下付近の緯線が半身で15.4mmの伸展がみられた。また、車いすの後ろにかけた荷物をとる際の体幹をねじるポーズでは背面の腋下付近で30.2mm、上腕部で20.7mmの伸展がみられた。3名の高校生の身体を3次元計測し、LookStailorXにボディーとして取り込み、仮想空間内で前述の動作による体表の変化の結果を考慮したゆとりを加えたシルエットを作成し、デザインを描いてジャケットのパターンに展開した。これを製作し、市販のスーツと比較した。今回製作したスーツは本人の身体に適合しており、市販のものと明らかな外観の差が認められた。一方、腕が上げやすい、窮屈さがないという回答も得られた。障害者の体つきに合わせて衣服設計する場合、試着や補正の繰り返しが必要で大きな負担となるが、3次元CADで設計を行うことで、この問題が解消されると考えられた。一方で、個別のニーズについて正確に聞き取れるようにすることやさらに3次元CADのオペレーターの能力にかかわらず効率よく設計できるようにすることなどの課題が明らかになった。次年度はさらに例数を増やすとともに、アンケートによって障害者の特別なニーズについて整理したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、異体グレーディングのために3次元計測を行うことや障害者や高齢者の衣生活にかかわる観察など行う予定であった。前者については予備解析まで行い、後者については被験者を得て実際の衣服設計を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、被験者数を増やして解析を進めるとともに、異体グレーディングで衣服の補正を行ったり、3次元CADで衣服設計を行ったものを実際に制作し、その効果を検証していきたい。
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