2012 Fiscal Year Annual Research Report
食品の抗酸化力統一指標を用いた野菜の抗酸化力の評価と食事管理への活用に関する研究
Project/Area Number |
23300270
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
菊崎 泰枝 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (60291598)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 抗酸化力 / ORAC / 活性酸素吸収能力 / 野菜 / 加熱調理 |
Research Abstract |
現在わが国では食品の抗酸化力の統一指標を確立する動きがあり、その統一指標の食品への表示や食品成分表に準じたデータベース化を通じて食品の抗酸化物質の普及を行い、国民の健康に寄与することを目標に掲げている。この社会的背景を鑑みて本研究はポリフェノール系抗酸化物質の抗酸化力を示す統一指標であるORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity:活性酸素吸収能力)を用い、ポリフェノール含量が比較的高い野菜に着目し、食品成分表を用いた栄養価計算と同様の要領で、野菜のORACを食事管理に活用することの有用性・留意点を明らかにすることを目的とした。本年度は、昨年度確立した方法で非加熱野菜とスチームコンベクションオーブンにより加熱した野菜の測定試料を数種調製し、それらのORACを比較検討した。ORAC法は従来食品の抗酸化力測定法として用いられてきたが、最近日本において統一指標とするにあたり改良が加えられてきた。その改良法に従いトロロックス、α-トコフェロールなどの標準物質を用いて改良法の有効性を検討し、使用溶媒、試薬の添加量、反応時間等に部分的改良を加えた結果、理論値に近い良好な測定値を得ることができた。この改良ORAC法を用い各野菜のORAC測定に際し最適の希釈係数を求めるため、数種の非加熱および加熱野菜の水溶性成分のORAC(H-ORAC)と脂溶性成分のORAC(L-ORAC)を測定した。その結果、各野菜のORAC測定のための最適希釈係数を得るとともに、数種の野菜について加熱前後の抗酸化力の変動特性も明らかとなった。具体的にはにんじん、さつまいも、ほうれん草、ブロッコリー、玉ねぎ、もやしには加熱の前後でORACの大きな変動はなかったが、れんこん、ごぼうでは加熱後のORACに減少が認められ、野菜によって抗酸化力の熱に対する安定性が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、日本人の摂取頻度の高い野菜の非加熱および加熱試料を調製し、複数の測定法を用いた抗酸化力の測定および総ポリフェノール量の測定を実施し、さらにはHPLCによる成分分析を行う計画であった。しかしながら実験進めていく過程で、本研究における主要抗酸化力測定法であるORAC法に改良が必要であることがわかり、その最適条件を確立するために予想外の時間がかかってしまったため計画すべての測定を実施するに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究でサンプル調製法およびORAC測定法が確立できたので、今後はORACをはじめ、これまでに測定できなかったラジカル捕捉活性、金属イオン還元力、総ポリフェノール量の測定も実施する。本年度ORAC測定を実施した野菜類は、次年度の研究対象である数種の野菜料理モデルを見据えて選択したものであり、これまでに得られた結果をもとに、野菜料理をモデルとして実験データとして得られた野菜のORACを用い、食品成分表を用いた栄養価計算と同様の要領で、食品のORACを食事管理に利用することへの有用性あるいは留意点を明らかにしていきたい。
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Research Products
(1 results)