2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜機能組込み人工喉モデルによるレトロネーザルアロマ発生メカニズムの解明
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23300271
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小竹 佐知子 日本獣医生命科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60233540)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人工喉 / 生体膜 / フレーバーリリース / アロマリリース / レトロネーザルフレーバー |
Research Abstract |
23年度に引き続き、人工喉装置構築のために、実際の人パネリストの咀嚼・嚥下挙動を把握することを目的として、年齢の異なるパネリストを用い、各種食品を試料として、咀嚼特性ならびに嚥下特性(咀嚼力、咀嚼筋運動量、咀嚼頻度、咀嚼時間、唾液分泌量、唾液分泌速度、呼気流量、呼気流速、嚥下頻度)を把握した。23年度に明らかとなった、放散香気量に強く影響する因子呼気流量と呼気流速について、データの補強を目的として年齢層の違うパネリスト(高齢者・若年者)によるデータ採取を行なった。さらに、咀嚼嚥下に用いる試料の特性把握を目的として、食品試料に含まれる香気成分組成を全香気抽出法(Solvent assisted flavor evaporation法)により測定し、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、ラクトン類などの検出と分類を行なった。それと、人工喉装置の核となる生体膜機能部分の構築のために、生体膜と香気化合物とのインターラクションの強弱に関連する分配係数値LogPの把握を目的として、各種便覧値からの収集、ならびに化合物構造式からの計算値を求めた。 実際の食品からの香気放散データとしては、23年度に設置完了した香気濃縮装置を用いて、脂質含量の異なる試料(乳脂肪量を変えて調製したゲル試料)、気体を含む試料(炭酸濃度を変えて調製した液体試料)からの香気放散量を把握した。 以上の諸々データを集約しつつ、従前配備していた咀嚼モデル装置と連携できる人工喉装置の設計、本体素材の検討、コンピューター制御様式については、研究協力者と一緒に作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度に導入した香気濃縮装置の購入納品時期が、当初の計画から非常に遅れたため(地震による減額の可能性があったことによる、最終的にはありがたいことに減額はなく、購入できた)、申請時に予定していた23年度実施予定実験と24年度実施予定実験を入れ替えて行った。 24年度には、その香気濃縮装置を用いたデータの採取にこぎつけることができ、当初の実験予定を遂行するに至ったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階までで、人パネリストのデータ、食品試料サイドの基本データはある程度出てきているので、今後、これらのデータを基に、人工喉の具体的な設計をきちんと進めていく計画である。中でも、重要な点は、人工喉の核となるモデル生体膜にどの素材を使うかの絞り込みをしていく必要が出てきていることである。現段階では、まだどの素材にするかの絞り込みをするのに必要なデータが出そろっておらず、また、試行する素材の種類も増やして、より良い人工喉を作成するようにしたい。最終年の25年度は、この工程に時間がかかると予想される。具体的な人工喉モデルの装置に至らないとしても、装置の核となる生体膜機能の確立は行っていく予定にしている。
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Research Products
(11 results)