2011 Fiscal Year Annual Research Report
エコロジー調理は食品の機能性と嗜好性にどのような影響を与えるのか?
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23300272
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
的場 輝佳 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (10027196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 悟 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (40150081)
高村 仁知 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70202158)
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Keywords | 調理と機能性成分 / 食品物性 / 官能検査 / エコロジー / エネルギー |
Research Abstract |
環境問題に対する意識の高まる中、環境に優しい食生活を目指す動きが盛んになっている。しかし、食品の「栄養性」「嗜好性」「機能性」が損なわれるようでは意味がない。本研究では、環境に優しい食生活を実現するため、機能性および嗜好性を維持できる、正しい「エコロジー調理」を提言することを目的として研究を遂行した。 平成23年度は、水を用いる調理が機能性および嗜好性に与える影響について検討するため、物性を同じ状態にした水煮調理品を試作し、調理法の違いによる消費エネルギー量を算出するとともに、調理操作の違いによる機能性の差異を解析した。試料として、ジャガイモ、ダイコンを用い、調味料を用いない湿式加熱である「ゆでる」、「蒸す」操作を選定し、ガスコンロ及び電子レンジを用い、調理器具と蒸らし操作の有無を組み合わせた8種類の調理法について比較した。アルミ鍋水煮における破断応力値を基準とし、他の調理法における調理時間を決定した。物性をクリープメーターにて測定し、消費ガス量・電力量から、CO2排出量及び消費一次エネルギー量を算出するとともに、抗酸化性、アスコルビン酸量、ダイコンのみグルコシノレート量をそれぞれ測定し、比較検討した。 ジャガイモ、ダイコン共に、8種類の調理法で破断応力がほぼ同様の試料を得た。CO2排出量と消費一次エネルギー量は、電子レンジを用いた場合、ガスコンロを用いた場合よりも少なくなる傾向が見られ、さらに蒸らし操作を加えるとより効果的であることが認められた。しかし、蒸らし操作は調理時間の増加により、機能性成分の煮汁への溶出が増加することから、煮汁ごと摂取する調理に用いることが有効と考えられる。また、調理に用いる水を削減しても機能性への影響は小さかったことから、適量の水を用いることが機能性を保持したままCO2排出量を削減することにつながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画のうち、調味料を用いた「煮る」調理に関する研究を遂行することができなかった。これは、調理品の物性を再現性よく測定することや物性を揃えた調理品を得ることが困難であったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に遂行できなった、調味料を用いた「煮る」調理について、平成23年度と同様の研究を行う。ただし、ジャガイモとダイコン両方について研究を遂行することは、試料調製が大変困難なため、まず、ジャガイモについて、先に研究を進めることとする。
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