2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23300274
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 啓 金沢大学, フロンティアサイエンス機構, 特任准教授 (50397832)
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Keywords | 糖代謝 / アミノ酸 / 肝臓 / ヒスチジン / 肝糖産生 |
Research Abstract |
蛋白質・ペプチド・アミノ酸の摂取も、個体糖代謝に多大な影響を及ぼすことが知られている。代表者は、ヒスチジン誘導体が糖代謝を改善することを見出しているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。そこで、本研究課題では、ヒスチジンの糖代謝改善作用を解明することを目的とする。本年度は、ヒスチジンによる糖代謝改善作用の責任臓器の同定を行った。インスリン作用臓器において、肝臓は糖産生・糖取り込み・グリコーゲン合成・脂肪合成燃焼蓄積、筋は糖取り込みと糖脂肪利用、脂肪は糖取り込みと脂肪蓄積を、それぞれの異なる役割を有している。そこで、高インスリンクランプ法を用いて、ヒスチジン投与下での臓器ごとの糖代謝調節についての検討を行った。その結果、ヒスチジン投与により肝糖産生が抑制されることを見出している。また、ヒスチジンによる肝糖代謝改善作用は肝臓STAT3活性化に伴うものであることを明らかにしている。さらに、肥満動物におけるヒスチジン作用を検討したところ、ヒスチジンによる肝糖産生改善作用は減弱傾向を示した(予備検討)。本年度には、肥満動物によるヒスチジン依存性の肝臓STAT3活性化の障害メカニズムに、肝臓小胞体ストレスが関与する可能性を見出し、その検討結果に関して、Diabetes誌に報告を行った。 ヒスチジンは脳内ヒスタミンを増加させることが知られている。ヒスチジンによる肝糖産生抑制作用は、脳内ヒスタミン作用阻害によって、消失した。この結果は、ヒスチジンにより糖代謝改善作用が脳内ヒスタミン作用であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたヒスチジン長期投与による糖代謝改善作用については、本年度には実施できなかったが、このことは、ヒスチジンの脳内作用の詳細なメカニズムの検討が可能となったための、計画変更に伴うもので、次年度の計画変更にはつながるものの、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒスチジン作用による糖代謝改善作用については、主に野生型マウスを用いての検討を本年度には実施した。次年度以降には、肝臓特異的遺伝子改変マウスやヒスタミン受容体欠損マウスを用いて、ヒスチジン作用の検討を行う。ヒスチジンにより糖代謝改善作用については、長期投与による作用についての検討も行い、さらに、メカニズム解明のために、in vitroでの検討も行う。
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Research Products
(5 results)