2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23300274
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井上 啓 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 教授 (50397832)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖代謝 / アミノ酸 / 肝臓 / ヒスチジン / 肝糖産生 |
Research Abstract |
蛋白質・ペプチド・アミノ酸の摂取が、個体糖代謝に多大な影響を及ぼすことが知られている。代表者は、ヒスチジン誘導体が糖代謝を改善することを見出しているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。本研究課題では、ヒスチジンの糖代謝改善作用を解明することを目的としている。 ヒスチジンにより耐糖能が改善するが、このヒスチジン作用は肝糖産生抑制によるという結果を見出している。また、ヒスチジン投与は、肝糖産生を抑制する肝臓STAT3活性化を誘導することを明らかにしている。ヒスチジン投与により脳内ヒスタミンが増加することが知られており、ヒスチジンによる肝糖産生抑制作用が、脳内ヒスタミン作用阻害によって消失することも見出している。この結果は、ヒスチジンにより糖代謝改善作用が脳内ヒスタミン作用であることを示唆している。 本年度は、肝臓特異的STAT3欠損マウスおよびヒスタミンH1受容体欠損マウスを用いた検討を行った。ヒスチジン投与によっても、肝臓特異的STAT3欠損マウスにおいて、肝糖産生は抑制されなかった。このことは、ヒスチジン作用による肝糖産生抑制が肝臓STAT3を介して行われることを示唆している。次に、ヒスタミンH1受容体(H1R)欠損マウスを用いた検討を行った。H1R欠損マウスでは、ヒスチジン投与による肝糖産生抑制作用は障害されていた。このことは昨年度に見出した脳内H1R阻害剤投与によるヒスチジン依存性の肝糖産生抑制作用の阻害を支持する知見である。 ヒスチジン投与による肝臓STAT3活性化における、H1Rの役割を検討するために、H1R欠損マウスおよび脳内H1R阻害剤投与による検討を行った。H1R欠損マウスまたは脳内H1R阻害剤投与により、ヒスチジン投与による肝臓STAT3活性化は障害された。ヒスチジンは、脳H1Rから肝臓STAT3を介して、肝糖産生を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度には、ヒスチジンの糖代謝改善作用における脳内ヒスタミン作用の役割を明らかにした。ヒスチジンの糖代謝改善作用とインスリンなどの液性因子との関与および、自律神経との関与については、現在検討を進めており、おおむね、実験計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒスチジンの糖代謝改善作用と、インスリンなどの液性因子との関与を、中枢神経インスリン投与法または中枢神経インスリン受容体欠損マウスなどを用いて検討する。また、自律神経との関与について、自律神経阻害剤、または迷走神経切除モデルを用いて検討を行う。本年度に当初実験計画通りに進捗しており、今後も研究計画に沿って研究を進展していく予定である。
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Research Products
(9 results)