2011 Fiscal Year Annual Research Report

共感的思考と論理的思考の統合に着目した協同課題解決型議論のための訓練手法の開発

Research Project

Project/Area Number	23300295
Research Institution	Ibaraki University
Principal Investigator	鈴木栄幸茨城大学, 人文学部, 教授 (20323199)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	葛岡英明筑波大学, システム情報工学研究科, 教授 (10241796) 舟生日出男広島大学, 工学研究科, 准教授 (20344830) 望月俊男専修大学, ネットワーク情報学部, 講師 (50379468) 加藤浩放送大学, ICT活用・遠隔教育センター, 教授 (80332146) 久保田善彦上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (90432103)
Keywords	議論教育 / 振り返り / 協同課題解決型議論 / Discussion Historiogram / 議論結果の利用
Research Abstract	本研究は、立場の異なる人々との対話・交渉をとおして解決策を協同的に練り上げてゆくような議論スキル、すなわち、協同課題解決型議論スキルの育成を最終ゴールとする。そのために、議論終結後に自分達の議論を可視化し振り返る訓練技法と支援システムを開発することを目指す。本年度は、議論の流れを「論理面」「感情面」の2側面から振り返るための年表方式の可視化手法を提案するとともに、上記訓練手法の実施を支援する学習システムの基本的な概念設計をおこなった。具体的には、先行研究の調査および、大学生を対象とした実験をとおた議論プロセスの分析調査をおこなった。その結果より、協同課題解決型議論の訓練手法であるDiscussion Historiogramを用いた振り返り技法を提案した。Discussion Historiogramとは、自分達がおこなった議論の歴史的流れを整理するとともに、その流れの中に発生した感情的な反応を表現するものである。Discussion Historiogramを作成する中で、議論の過程で捨てられた意見や、隠蔽された感情を再度意識化することが可能である。今年度は、この手法を紙ベースで大学生に適応し、その効果を確認するとともに、実施上の問題点等の洗い出しをおこなった。これらの結果をうけて、Discussion Historiogramの作成を支援するためのICTツールの概念設計をおこなった.本システムは、リアルタイムの議論の中からトピックとそれにたいする感情的反応をとりだし記録する「議論プロセス記録支援部」と、記録した情報を用いてHistoriogramを作成することを支援する「Historiogram構成支援部」からなる。前者には、音声認識技術を利用して発言者の流れをスレート端末上に表示し、その発言者の発言内容に対するコメントをリアルタイムで書き込めるような機能を持つ。後者は、集約したコメントをKJ法のように操作する機能を持つ。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 当初計画では、今年度中に支援システムの試作に入ることになっていたが、現時点で、概念設計が終わった段階である。これは、フィールド調査の基づく議論訓練手法の立案に時間がとられたためである。年度末には開発体制の立ち上げまでが済んでおり、若干の遅延はあるがほぼ順調と考えられる。
Strategy for Future Research Activity	今年度は、支援システムの開発にとりかかる。それと同時に、提案した訓練手法の効果検証も併せておこなう。今年度末には、システムの試作を完了させた上で、一次的な評価までをおこなう。来年度、教育現場での利用をとおした本格的評価、および、教育現場で本手法を実施するためのサポートツール(マニュアル、ワークシート等)を作成する。