2012 Fiscal Year Annual Research Report
認知的徒弟制によるプレゼンテーションスキル向上支援環境
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23300297
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
柏原 昭博 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10243263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 忍 北陸先端科学技術大学院大学, 大学院教育イニシアティブセンター, 准教授 (30345665)
岡本 竜 高知大学, 理学部門, 教授 (60274362)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 教育工学 / 認知的徒弟制 / プレゼンテーション / スキル / 知的学習支援 |
Research Abstract |
大学などの研究グループにおけるプレゼンテーションを題材に、認知的徒弟制に基づいてプレゼンテーションドキュメント作成スキルの向上支援環境を構築するために、平成24年度はスキル習得支援のために開発してきた基本メカニズムの洗練、および基本メカニズムを統合したスキルアップ支援システムを開発した。具体的には、次の1~3を行った。 1.スキル習得支援メカニズムの洗練:研究グループ内に蓄積されたドキュメントから抽出した典型的な意味的構造(プレゼンテーションスキーマ)を足場としてドキュメントを作成するスキルの習得を支援する基本メカニズムの利用可能性、有効性を調べるケーススタディを実施した。そして、その結果に基づいて支援メカニズムを洗練した。 2.システマティックなスキルアップ支援システムの開発:基本的な支援メカニズムを統合し、研究初心者がプレゼンテーションドキュメントの意味的構造(セマンティクス)を構成するスキルをシステマティックに高めるシステムを開発した。本システムでは、既存のドキュメントを「学ぶ(読む)」・「聞く」文脈だけでなく、新たなドキュメントを「作る(書く)」文脈でもスキーマを足場としてセマンティクスを構成する場を提供する。また、学習者のスキルレベルに応じてセマンティクス構成文脈を変更することができ、構成に行き詰まりが生じた場合は適宜基本支援メカニズムである自己評価支援などを提供することができる。 3.有効性評価実験:2で開発したシステムを研究グループ内の大学生、大学院生に利用させる実験を行い、セマンティクス構成スキルの向上への影響を調査した。また、中期的にシステムを利用させてスキルアップ支援の有効性を検証した。これらの結果から、主に学習者のスキルレベルに応じたセマンティクス構成文脈の設定方法を検討し、研究グループごとのスキーマ表現方法を見直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的なスキル習得支援メカニズムの洗練、およびスキルアップ支援システムの開発は、ほぼ計画通り進めることができたが、有効性評価実験におけるシステム利用実験は長期的とはならず中期的な利用にとどまった。しかしながら、この実験を通して、学習者のスキルレベルに合わせてセマンティクスを構成する文脈(ドキュメントを「学ぶ」・「聞く」・「作る」)を設定することがスキルアップにとって重要であるという知見を得た。このようなスキルレベルに応じた支援は、長期的なシステム利用でより顕著になると考えられ、支援システムによるスキル向上支援の有効性を高める上で不可欠なものであるとの認識を得ている。 以上のことから、現在までの達成度を②と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施した有効性評価実験の結果から得られた問題点をより明確にするために、スキルアップ支援システムの中・長期的利用実験を継続・推進する。この実験では、特にドキュメントを「学ぶ」・「聞く」文脈でのセマンティクス構成スキルとドキュメントを「作る」文脈での構成スキルとの関連性を明確にし、スキルアップ支援に必要な文脈設定方法を検討する。また、支援システムの有効性評価のために複数の研究グループに対するシステムの適用を検討したが、グループごとのスキーマ分析を通してスキーマ表現をより汎用的に記述することが、支援システムのスケーラビリティやユーザビリティを高める上で極めて重要であることを見出した。そこで、今後スキーマ表現方法を見直すとともに、スキルアップ支援システムを他の研究グループにも有効に利用できるように拡張する方法を検討する。その上で、他の研究グループでのシステム利用可能性、およびスキルアップ可能性を調査したい。
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Research Products
(19 results)