2012 Fiscal Year Annual Research Report
佐賀・出雲・盛岡南部の明治期における在来鉄産業技術の展開と地域社会変動の分析
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23300319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
脇田 久伸 福岡大学, 理学部, 教授 (50078581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗崎 敏 福岡大学, 理学部, 助教 (20268973)
高崎 洋三 佐賀大学, 医学部, 特別研究員 (30124811)
中村 政俊 佐賀大学, その他部局等, 名誉教授 (50038080)
小野寺 英輝 岩手大学, 工学部, 准教授 (50233599)
青木 歳幸 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 教授 (60444866)
相良 英輔 広島経済大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70124071)
長野 暹 佐賀大学, その他部局等, 名誉教授 (80039221)
沼子 千弥 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80284280)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 幕末・明治期 / 佐賀・出雲・盛岡南部 / 鉄産業技術の展開 / 史資料分析 / 蛍光X線分析 / システム工学分析 / 日中国際シンポジウム |
Research Abstract |
佐賀・出雲・盛岡南部の3地域における鉄産業技術の展開と社会との関わりを史資料・鉄試料・情報処理について他班と連絡を取りつつ個別に研究し、研究会と国際シンポジウムを開催して相互理解と体系化を図った。以下にその実績の概要を示す。 佐賀・出雲・盛岡南部の史資料分析と物質科学分析試料の収集:1,佐賀班:幕末・明治期において鍋島藩、薩摩藩の大砲・砲弾および工作機械が在来金属工業によって生産された近代的展開に関する調査と分析を行った。2,出雲班:田部家調査を前年度に引き続き行い、史料にラベル貼りを行い、収集した史料から幕末・維新期の山陰地方におけるたたら製鉄が反射炉や近代製鉄業とどのように関連していたかを調査した。3,盛岡南部班:出雲,南部各地の砂鉄の採取を行い、二種に分類される砂鉄精錬技術の伝播の様相を明らかにした。 物質科学分析:佐賀・出雲・盛岡南部班が収集した粉末試料をICP-AESおよびXPS法によって分析を行った。また可搬型蛍光X線分析装置を佐賀、鹿児島に持参して大砲砲弾や工作機械のその場分析を行った。システム工学分析:佐賀や他地域および中国における鉄関連産業が幕末・明治期に展開した事業活動をシステム工学的に解明する準備を行った。 国内研究会と国際共同研究の実施:まず、国内研究会を5月8日に開催し、個別研究の発表と本年度の計画を述べ、他班の研究の相互理解を図った。10月25-28日には中国との第2回国際シンポジウムを佐賀大学で開催し、日中の研究者が個別の研究発表を行うと共に他班や他国の研究の相互理解と体系化を図った。また、市民への公開講演や鍋島藩の砲台跡の見学会も行った。この成果はプロシーディングスとして発行した(ISBN978-4-9906649-0-9)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
佐賀・出雲・盛岡南部の3地域における鉄産業技術の展開と社会との関わりを明らかにすべく3班に分かれて史資料分析・鉄試料の科学分析・システム工学的情報処理解析を行うという目的は十分達成された。他班との連絡と相互理解を達成するために研究資料の送付・交換ばかりでなく研究者が現地に行き、史資料調査と採集およびその場分析を行うという目的もほぼ達成された。個別の達成度は以下に記す。 佐賀・出雲・盛岡南部の史資料分析の収集:佐賀班:鍋島藩が生産した大砲・砲弾および工作機械などを調査することおよび蛍光X線によるその場分析を行うことは十分達成できた。薩摩藩については砲弾のその場分析は次年度に持ち越した。出雲班:田部家調査を引き続き行い、史資料にラベルを貼る作業は今年度分を達成した。収集した史料からたたら製鉄が幕末・明治期に近代製鉄業とどのように関連していたかの調査も今年度分は達成された。盛岡南部班:出雲,南部各地の砂鉄の採取は十分達成された。その結果、二種に分類される砂鉄精錬技術の伝播の様相を考察できることが分かった。物質科学分析:佐賀・出雲・盛岡南部班が収集した粉末試料のICP-AESおよびXPS分析は十分達成できた。可搬型蛍光X線分析装置によるその場分析は佐賀鍋島藩については完遂できたが鹿児島薩摩藩の砲弾については保管部署と再度交渉し、次年度分析する。システム工学分析:佐賀や他地域および中国における鉄関連産業が幕末・明治期に展開した事業活動のシステム工学的解明を行う準備はほぼ達成された。 国内研究会と国際共同研究の実施:国内研究会はメールも含めて個別研究の発表と本年度の計画を示しあい、他班の研究の相互理解を図ることは達成できた。中国との第2回国際シンポジウムは日本側から15件、中国側から6件の研究発表があった。その結果相互の研究の理解と体系化が図れ、次回中国でのシンポジウム開催が決定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
佐賀・出雲・盛岡南部の3地域における鉄産業技術の展開と社会との関わりを史資料・鉄試料・情報処理について他班と連絡を取りつつ個別に研究し、研究会にて相互理解と体系化を図る。 佐賀・出雲・盛岡南部の史資料分析と試料収集:1,佐賀班:明治・大正期において旋盤(唐津市)、洋食器(燕市)、鋸(長岡市)などを在来金属工業が生産した近代的展開に関する調査分析を行う。2,出雲班:田部家調査を引き続き行い、史料にラベルなども貼り、収集した史料から幕末・維新期のたたら製鉄が反射炉や近代製鉄業とどのような関連の中で衰退していったかを後付けする。3,盛岡南部班:昨年度までに採集した出雲,南部各地の砂鉄の分析を進めるとともに二種に分類される砂鉄精錬技術の伝播・吸収の様相を明らかにする。また,そのために用いられる送風方式の違い(地域性)についても系統的に調査する。物質科学分析:佐賀・出雲・盛岡南部班が収集した試料をICP-AESおよびXPS分析を行う。シンクロトロン光を用いた蛍光X線分析により軽元素も含めた主要成分から微量成分にわたる分析を行う。さらに可搬型蛍光X線分析装置を現地に持参してその場分析も行う。システム工学分析:佐賀の真崎鉄工場と唐津鉄工所の明治・大正期の事業活動をシステム工学的に分析する。また他班の史資料データ及び物質科学班のデータを情報処理し、システム工学的分析をすることで本研究の総合的体系化を図る。 国際共同研究と国内研究会の実施:中国との国際シンポジウムを本年度は10月に中国・安陽市で開催することで日中の国際共同研究を推進する。また、本研究の全体研究会を外国人も含む招待講演者を交えて開催し、本研究の総合的体系化を図る。 報告書の作成・公開:3年目にあたる本年度は班員個別研究のみならず国内研究会や日中シンポジウムで討議した総合的体系的研究も含む報告書を刊行する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] 幕末期佐賀藩の反射炉と在来知2012
Author(s)
長野暹
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Journal Title
Proceedings of the 2nd Intenatinal Symposium on History of Indigenous Knowledge
Volume: 1
Pages: 17-20
Peer Reviewed
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