2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300320
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
門叶 冬樹 山形大学, 理学部, 教授 (80323161)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 質量分析 / 年代測定 |
Research Abstract |
加速器質量分析(AMS)法は、微小試料からの極微量元素を高精度かつ短時間に測定することができる高感度質量分析装置である。特に半減期が5730 年の炭素14(14C)に対するAMS 測定は、動植物に由来する年代を決定する年代測定法として幅広く利用され、人類の文化と歴史、宇宙科学や環境科学、そして医学・薬学分野の重要な測定ツールの一翼を担っている。山形大学は、東北・北海道地区の大学法人として初となる最新型のコンパクトAMS と試料調整のためのグラファイト調整システムを平成22 年3 月に山形大学総合科学研究所に導入した。本申請では、世界最高レベルとなる0.1%の測定精度を目標に、AMS 装置の高感度化と安定化のための基礎研究、そして試料作製システムの高速自動化の開発を推進し、文化財科学の発展に貢献することを目指す。 まず、標準試料にNIST(アメリカ国立標準技術研究所)が提供するSRM4990CとIAEA(国際原子力機関)が提供するC1-C9サンプルを準備した。それぞれのサンプルを山形大学に設置したCO2精製装置により燃焼し、グラファイト生成装置による還元作用によりグラファイト化を行った。生成したグラファイトをカソードに装填する際、用いるカソードの材質、形状、プレス圧を変え、標準試料の初期電流の安定性および14C/12C比の時間依存性を調べ、測定用カソードの最適化を行った。次に、試料から回収した二酸化炭素をグラファイトに還元するときに使用する還元材の比率の最適化の開発を行った。サンプルSRM4990Cを標準試料とし、C1からC9までの各サンプルのAMS測定値と試料値(book value)を比較し、0.1%(±8年)の精度を目標に14C濃度測定システムの開発研究行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最新型の高感度加速器質量分析(AMS)システムを用いて、14C濃度を世界最高レベルとなる0.1%の測定精度で達成することを目的にグラファイトシステム、カソードプレス手法、およびAMS測定評価の最適化を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
コンパクトAMSシステムの性能評価、イオン源の最適化、ストリッパーガス圧のバックグランド依存性によるAMS測定の最適化、グラファイトターゲット作製方法の最適化、暦年代が決まっている樹木年輪試料を用いたウィグルマッチング法による年代測定による性能評価を行い、世界最高レベルとなる0.1%(±8年)の精度を目標に14C濃度測定システムの開発研究を推進する。
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