2012 Fiscal Year Annual Research Report
超精細画像による博物館資料の高度比較表示方式の研究
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23300332
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
安達 文夫 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (30321540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 卓治 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, その他 (70270402)
徳永 幸生 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70317361)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 画像閲覧システム / ビューア / 歴史資料 |
Research Abstract |
博物館資料の非常に高精細な画像を適用した展示や資料の調査研究のための画像閲覧において、重要な手段となる資料間の比較表示に関し、これまでの研究で実現してきた比較対象をさらに拡大する高度で利用者にとって自然で分かりやすい比較表示方式を確立することを目的として、対応関係が不連続な資料間の比較表示と、横長資料である紙背文書の表裏の比較表示について検討を進めた。 (1) 対応関係が不連続な資料間の比較表示: 屏風など同一題材を描いた絵画資料では、描からた対象の位置関係が異なるものがある。この同一の対象を比較表示するために平成23年度に実現した対応関係が不連続な資料間の比較表示方法を、洛中洛外図屏風歴博甲本と乙本に適用し、国立歴史民俗博物館の企画展示「洛中洛外図屏風と風俗画」(2012年3~5月)において公開した。この適用する上での技術的課題を整理し学会の大会で報告した。また、展示の際に収集した利用記録を分析した。この比較表示は資料の単一の表示に比べて動作が分かりにくい懸念があったが、同等に使用されていることが明になった。 (2) 横長資料の比較表示: 横長の紙背文書として正倉院文書を具体的対象とし、資料のたわみに起因する表裏の画像のズレを補正し比較するために必要な対応点数を、ズレの誤差との関係として明らかにした。また、正倉院文書を元あった並びに仮想的に再構成し表裏を比較表示するための前段階として必要な断簡と台紙の領域の切り分けを、色相に基づいて行う方法が、濃度に基づく方法よりも精度高く実施できることを明らかにした。これらのの成果を、学会の研究会において発表した。また、通常の反射光と透過光による画像の重畳比較の実装を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下のとおり、対応関係が不連続な資料間の比較表示と横長資料の比較表示について、当初の計画に沿って研究を実施し、成果を学会の大開と研究会で報告した。企画展示の際に収集した利用記録を基に、不連続な資料間の比較表示における利用特性を分析したことは計画以上の成果とも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
紙背文書の表裏の比較について、ズレを少なく表示するための対応点の最適設定位置を、資料のたわみととの関係として明らかにし、実際的な適用に反映する。通常の反射光と透過光による画像の重畳比較表示法の評価を進める。正倉院門の元合った並びに再構成して比較表示するための断簡と台紙の切り分けについて、曲線的な切断についても対応できるよう一般化を図る。 資料群画像の比較表示について、正倉院文書を対象として検討を行い、手法を一般化するため、古地図の切り図と一枚図との比較表示法について、対応関係が不連続な資料間の比較表示の研究成果を視野に入れて検討を進める。」
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Research Products
(3 results)