2012 Fiscal Year Annual Research Report
アマチュア菌類学のための支援情報基盤と遺伝情報つき地域エキシカータ作成の試み
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23300333
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
佐久間 大輔 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (90291179)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 菌類分類学 / インベントリー / 菌学教育 / アマチュア / 博物館 / DNAバーコーディング / 自然史資料 |
Research Abstract |
日本の菌類生物多様性の解明において、アマチュア研究者の担う役割は大きい。アマチュア菌類学のために有益な参考資料の提供拠点として博物館を活用するのが本研究である。 1.本郷コレクションの現状調査と公開準備:日本のきのこ相解明の上で、故本郷次雄氏は重要な役割をはたし、彼の作成した図鑑や論文が、職業研究者、アマチュアともに現代の日本菌類学の基礎となっている。本郷氏が描いたタイプ標本を含む菌類の水彩画1100点、標本記録ノート60冊について、デジタル化をほぼ完了した。収集した菌類標本約6500点については保存処理を行いつつ現状記録を進め、ほぼ6割を完了している。展示や研究での活用もすすめつつある。 標本番号や種名をキーとして、検索公開可能なシステムを試作し、権利処理を進めている。また、本郷標本の分割寄贈先の探索と、状況の確認を進め、国立科学博物館、菌蕈研究所、京都大学での状況確認を行った。 2.菌類バーコーディングに関する予備的な調査:ITS2領域のバーコーディングに関し、生サンプル、乾燥標本、凍結乾燥標本からは良好に抽出できる体制を確認した。本郷標本など古い標本でDNA検出について検討を行い、保存条件によるDNAの断片化とAspergirusのコンタミを確認、これらを回避する手法としてプライマーの工夫を検討している。 3.標本の価値に関する検討と普及教育:引き続き標本の価値についてアマチュアの理解を得るためのテキスト執筆と公開研究会などを日本菌学会などと連携して試みた。また震災を契機として自然史標本全体への認識向上を分類学会連合や文化庁などと協力し、論じた。 4.エキシカータの準備:学習用標本の作製、配布に向けて、利用者の要望の高い顕微鏡観察に特化した保存用プレパラート資料の作成手法について検討した。同時に過去標本や図譜、模型などがアマチュア研究にどう寄与したのか大上宇市を例に研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本郷標本関係資料の整理および研究はかなり順調に進展している。古い標本のバーコーディングについては課題があるが、新たな手法開発の可能性も秘めている。市民向けの普及教育については展示などでの活用も含め、良い反応を得、手応えを感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
画像の博物館などでの展示活用の試行をもう一段進めると共に、研究利用についてのふさわしい形態を検討する。 標本の活用法に関するテキスト執筆を進めるとともに、DNAバーコーディングについてもアマチュア向けに可能性と限界、実態を正しく伝えるための努力を行う。
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Research Products
(16 results)