2013 Fiscal Year Annual Research Report
アマチュア菌類学のための支援情報基盤と遺伝情報つき地域エキシカータ作成の試み
Project/Area Number |
23300333
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
佐久間 大輔 大阪市立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (90291179)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 菌類分類学 / インベントリー / 菌学教育 / アマチュア支援 / 博物館 / DNAバーコーディング / 自然史資料 |
Research Abstract |
1)本郷次雄氏の研究資料のデジタルアーカイブ化による公開、という目標に対しては、今年度はDVD-ROMを用いて2013年度茅野市八ヶ岳博物館及び大阪市立自然史博物館での展示を行った。その他研究用資料として北海道大学、北海道教育大学、信州大学、筑波大学、京都大学、鳥取大学、関西菌類談話会、菌類懇話会などの研究者に試作版を提供し、研究に活用していただいた。データベースは昨年度の図・標本・ノートについて記された産地情報などの入力を進め、論文や地図情報とのリンクを取りやすくした。この成果を解析し生態学会に発表した。また、タイプローカリティについての情報整理も進めており、2014年6月の菌学会にて発表の予定である。 2)各地域で得た資料のDNAシーケンスを取得し、交換用凍結乾燥標本作成しエキシカータを作成。エキシカータは八ヶ岳博物館で展示の後資料として収蔵していただいた。この他京都府立植物園、西宮市北山緑化植物園、大阪市立自然史博物館などで展示、地域のアマチュアによって活用された。 DNAバーコーディングの適用についても検証を進め、新鮮な標本からは比較的高確率で遺伝情報を取り出せるようになった。現在これらの成果をアマチュア向けに執筆を進めている。本郷標本からのDNA取得は限定的な条件でのみ可能である。手法及び活用について2013年6月の日本菌学会で発表した他、2014年にも続報を発表予定である。 3)標本を活用するため、菌類研究のためのマニュアル作成を進めている。DNAバーコーディングなどを含めた菌学講座を開催、120名近い参加者を得ることができた。アマチュア菌類研究者へDNA利用の機会を拓き、理解を促進するため、現在試験的に実習を行っている。 このほか、アマチュアの自然史資料活用やアマチュアとともに行なう市民向けの教育活動など幅広い取り組みの中で本研究の要素を導入している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
展示や講座による公開は順調に進んでいる。また、研究者による活用は当初の予想より速いペースでの活用がみられ、重要資料としての扱いの必要性をより強く感じている。一方、ウェッブでの画像公開については絶版であった関連出版物が販売を再開をしているために、権利処理的には問題のないものの、より慎重な配慮を必要と考え、やむを得ずおくれている。公開が遅れているために帰ってデータの関連付けなどの検討は進んでおり、総合的に考えて概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はDNAバーコーディングに関する講習会および講演会を開催するとともに、成果の公開などを急ぐ予定である。特に、菌類アマチュア研究における標本の活用を進めるべく、マニュアルとなる手引を執筆中である。ウェッブやSNSによる情報発信による菌類への興味の喚起を含め、博物館学的には専門研究と普及教育の両者を追求するプロジェクトとして完成を目指している。
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Research Products
(15 results)