2013 Fiscal Year Annual Research Report
フロンによる我が国山地流域の地下水滞留時間・貯留量の推定とマッピング
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23300335
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 勤 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80304369)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水資源 / 湧水 / 年代 |
Research Abstract |
山梨県内等の湧水において、フロン類分析用のサンプルを収集するとともに、そのデータに基づき、平均滞留時間の解析を行った。堆積岩、花崗岩、変成岩等地質ごとの湧水における平均滞留時間の違いや、それをもたらす水文プロセス的要因について解析を行った。その結果、湧水の平均滞留時間は、堆積岩、変成岩、花崗岩の順で長いという傾向が認められた。また、花崗岩における湧水は、平均滞留時間の空間変動が、他の地質におけるそれに比べ、大きい特徴があった。堆積岩においては、基盤岩の亀裂等を通じた岩盤地下水の流動が卓越するため、湧水の平均滞留時間が長くなるものと思われる。一方花崗岩地域では、高水期および低水期の河川流量の変化が相対的に大きく、また降雨に対する流出応答も速やかであり、山体地下水の水文学的動態がダイナミックであるものと考えられ、そのため湧水の平均滞留時間における時空間変動が大きいものと判断される。 さらに、湧水の平均滞留時間と流量のデータから、当該地域の山体地下水貯留量の推定を行った。その結果、堆積岩、変成岩、花崗岩の順で、山体地下水貯留量が大きい傾向が示された。すなわち、堆積岩地域では、岩盤全体の山体地下水貯留量が大きいため、全体として湧水の平均滞留時間は他の地質に比較し長くなる傾向があり、一方、花崗岩地域においては、流域の水文応答性が動的であることから、山体地下水面の変動が大きく、地下水貯留量の変動も大きいため、結果として湧水の平均滞留時間変動も大きくなるものと考察された。このように、対象地域の地下水貯留量、地下水滞留時間および、水文プロセスの関係性に関し、概念的なモデルが構築された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる地質条件における水文プロセス、地下水滞留時間・貯留量に関し、概念モデルの構築がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したこれまでのデータを総合的に解析し、当該地域における水文プロセスのモデル化を図る。さらに、他地域への適用を検討する上での課題等の抽出も行う。
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Research Products
(1 results)