2012 Fiscal Year Annual Research Report
袋状埋積谷に着目した近畿三角帯北部域の伏在活断層の高精度評価
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23300341
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡田 篤正 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 客員研究員 (90086174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 茂弘 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境評価研究部, 研究員 (50301809)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 袋状埋積谷 / 近畿三角帯北部 / 活断層 / 反射法地震探査 / 火山灰層 / 内池見 / 池見断層 / オールコアボーリング |
Research Abstract |
福井県の敦賀市街地東方には,内池見・中池見・余座池見とよばれる3つの袋状埋積谷が南北方向に連続して配列し,それらの東縁を池見断層が縁取る(1:25,000都市圏活断層図「敦賀」).この断層は,空中写真で判読された鞍部や傾斜変換線の連なりから推定されたものであるが,埋積谷では堆積物に被覆されて詳しい位置は判明していない.中池見では,大規模な開発計画に先だって反射法地震探査やボーリング調査が実施され,超低角度の断層が地表下に伏在する可能性が指摘された.しかし,この低角度衝上断層については,地すべりである可能性も否定し切れていない. 内池見の東端部で,反射法地震探査やボーリング調査を行って,活断層の詳細位置や地下構造を解明した.反射法地震探査は震源に「板たたき法」を用いて,断層を横切る方向で実施した.谷底中心線は湿地のため,測線を谷底南縁の道路沿いに設定した.測定結果の解析から地下の反射面の不連続部に断層が推定されたが,震源パワーが小さく,測線配置の不備もあって明瞭な断層とは認定できなかった.ボーリング調査は3地点で基盤岩に達するコア掘削(下流側からU1:コア長33m,U3:同41m,U2:同38m)を行い,それらを補完するかたちで,深度10mまでのパーカッション式ボーリングを4地点で実施した.採取したコアの層相観察と記載,色指数や帯磁率の測定,テフラ分析,C-14年代測定などを行い,各ボーリング柱状断面での地層対比が可能となった.テフラとしてATが上部に,K-Tz~Aso-4の降灰層準が中部に認められた.これらは,現段階では明瞭な地層の対比層準(鍵層)であり,基盤岩深度と同様に上流側に向けて深さを増す.とくにATの分布深度はU1・U3地点では3~4mであるが,U2地点では深度10mにATが挟まれ,U2~U3地点間に上流(西)側が約6m低下する活断層の伏在が想定される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の主対象地とした内池見低地はかつては水田であったが,現在は休耕田となり湿地化が進行している.圃場整備事業が行われた時に水田下に埋められた敷石がボーリング調査を困難にした.こうした状況であったが,ボーリング掘削を依頼した会社の献身的な努力により,ほぼ予定通りのコア試料を採取できた.コア試料はほぼ欠損なく,全層準のコア観察・テフラ分析・C-14年代測定を進めることができた.反射法地震探査も内池見低地で計画したが,谷底幅がきわめて狭く,谷底中心線は湿地化して探査測線の確保が困難であったため,谷底の南縁に近い道路上に測線を設定した.コンクリート道路の破壊を防ぐためもあって小パワーの人力震源を採用したため,反射断面の明瞭さが落ち地下構造を明確にできなかった.これらから研究の達成度は70%程度である.
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Strategy for Future Research Activity |
内池見の南側に位置する中池見では,多くのボーリング調査や反射法地震探査が実施され,得られたボーリングコアを使用した花粉分析・テフラ分析・風成塵などの研究成果も報告されている.中池見のボーリングコアと今回得られた内池見のコアとの間で,層相・層序や年代の対比を行い,さまざまな研究成果を比較・総合化することから,内池見・中池見・余座池見の形成過程や地形-地質変遷史などを解明するとともに,池見断層の総変位量や変位速度,発達史などを究明する. 湖北地域には,三方五湖・余呉湖・八田部盆地・在原盆地などの袋状埋積谷が存在するので,これらの形成史・形成過程・地下構造の比較や相互比較を行い,袋状埋積谷の形成と活断層運動との関係を明らかにしていく. こうした研究や解明は琵琶湖の形成や北方移動の解明にも繋がるものと信じる.
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Research Products
(8 results)