2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃がんのマウスモデルとヒト血球DNAメチル化の解析
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23300342
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
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Keywords | 胃がん / DNA / メチル化 / 血球DNA / エピジェネティクス |
Research Abstract |
1.未分化型胃がんのマウスモデルの解析 我々は、細胞接着分子E-cadherin(Cdh1遺伝子がコードする)と、がん抑制遺伝子p53を胃特異的に欠損する(Atp4b-Cre^+ ; Cdh1^<loxP/loxP> ; Trp53^<LoxP/loxP>, DCKO=double conditional knockout)マウスを作製した。このDCKOマウスにできた未分化型胃がん(diffuse-type gastric cancer, DGC)の原発巣、リンパ節転移巣、ヌードマウス移植腫瘍から初代培養を行い、各々から主に球形の細胞からなる培養細胞の樹立に成功した。 近年、micro(mi)RNAとがんとの関連が明らかになってきた。血中のmiRNA量は、がんの診断マーカーの一つとして注目されている。我々は、担がんDCKOマウスにおいて、血清、原発がん、リンパ節転移巣におけるmiRNA量をマイクロアレイ法で解析した。その結果、血清と原発がんでともに高いmiRNAなど、いくつかを候補とした。DCKOとコントロールマウスについて、3,6,12か月に血清を得て、これらのmiRNA量を定量的に測定した。その結果、4種のmiRNAでは、6か月と12か月齢において、DCKOマウスの血清中でコントロールマウスより有意に高かった。一方、まだがんができていない3か月齢では、差は無かった。以上から、血清中のmiRNA量は、がんの診断マーカーになりうることが示唆された。 2.血液白血球DNAのメチル化の程度とがんの有無、および生活習慣との関連の解析 IGF2遺伝子のメチル化を詳しく調べるため、胃がん患者の血液白血球DNAをbisulfite処理した後、クローニングして各々のクローンの位置12と13のCpGのメチル化を解析した。アレルについては、制限酵素処理で塩基の違いを確認した。その結果、調べた5例はすべて、インプリンティング状態を保持していた。しかし、メチル化(+)アレルでは脱メチル化が、またメチル化(-)アレルでは新たなメチル化が頻度はいろいろであったが見られた。従って、IGF2遺伝子のメチル化状態は変わりうることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DGCのマウスモデルでは、がんから培養細胞株を樹立できた。従って、今後トランスフェクション実験などで遺伝子の機能を培養細胞系でも解析可能となったため。 血球DNAのメチル化程度とがんとの関連については、追加実験を行ったことにより、論文が受理されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展しているので、当初の方針どおり進める予定である。
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