2012 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型人工ヒトがん幹細胞と新規発がん動物モデルによる治療法の開発
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23300345
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
清野 透 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (10186356)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / 動物モデル / RAS / MYC / 膵がん |
Research Abstract |
ヒト手術検体11例より分離培養したヒト正常膵管細胞のうち9例で初期培養に成功し、4例では変異CDK4, Cyclin D1, TERTをレンチウイルスベクターで導入することにより正常2倍体のヒト膵管上皮細胞株の樹立に成功した。これらの不死化細胞にp53-shRNA, MYCと活性型RASを導入することにより膵がんiCSCを誘導することに成功した。次いでHPV16のE6,E7, MYC, 活性型RASの4因子をテトラサイクリン誘導系(tetOff)にて発現するレンチウイルスベクターを初代ヒト正常膵管培養細胞に導入した。この細胞をヌードマウス皮下に移植すると4因子の発現に依存して1ヶ月以内に腺がんの病理組織像を示す腫瘍を形成した。腫瘍を形成した後ドキシサイクリン(DOX)投与により4因子の発現を止めると腫瘍の退縮が見られた。移植後4因子の発現を止めていたマウスに約4週後から4因子の発現を再び誘導すると腫瘍の増大が見られた。異なる時期に腫瘍ならびに遺残組織の組織像を調べると腫瘍は腺管構造を伴う腺がんの病理組織像を示し、退縮後の組織は粘液産生細胞を含む単層腺上皮よりなる腺管上皮組織像を示した。DOX投与後10日後にはほぼ単層腺上皮組織を示した。腺管内には死細胞が高頻度に見られたが、Tunnel法ではアポトーシスを確認するには至らなかった。また、腫瘍再増殖初期にはPanIN様組織像も見られた。このように4因子の発現のON/OFFによりほぼ正常の組織からPanINを経て腺がんへ移行可能なモデルが得られた。一方、同ベクターを用いて実験動物による膵がんと大腸がんのde novo発がんモデルの作成を計画しているが、膵管上皮細胞へのウイルス接種技術開発や膵管上皮細胞選択的に発現できるプロモータの選択を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの膵がん多段階発がんモデルはヌードマウス皮下においてヒト膵管上皮組織を模倣するような組織像を得ることができ、当初の計画以上の進展を見せ新たな展開が期待されている。一方で、de novoの動物発がんモデルにおいては、レンチウイルスのマウスへの感染効率が予想外に低く使用するenvやウイルスの感染方法の検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
膵がんiCSC作成とその制御に関しては順調に進展しているので、iCSCの成立、維持に関わる因子の同定とiCSCを標的とした治療の分子標的の同定を進める。がん化のドライバー遺伝子の発現を全て止めれば腫瘍は退縮することが分かったが、腫瘍細胞はほぼ正常化し残存することが示された。各ドライバーの発現抑制のタイミングや順序を変えることで腫瘍細胞の全滅できないかを試みる。de novo発がん動物モデルの作出においては、レンチウイルスベクターのマウスへの感染効率の至適化から再度検討を始める。CMVプロモータやテトラサイクリン誘導系プロモータでde novoの腫瘍形成を先行させる。
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Research Products
(3 results)