2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23300349
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
青木 正博 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 部長 (60362464)
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Keywords | 大腸がん / 遺伝子改変マウス / 14-3-3 / Akt / リン酸化 |
Research Abstract |
Plekhg1の腸管腫瘍形成における役割を明らかにするため、Plekhg1のホモ接合変異とApcのヘテロ接合変異を併せ持つ、Plekhg1^<-/1>Apc^<+/Δ716>マウスを作出した。マウスがmoribundとなった時点で安楽死させ採材したところ、コントロールのApc^<+/Δ716>マウスと比較して、複合変異マウスでは大腸のポリープの数が多く、サイズも大きい傾向を示した。現在、マウスの数を増やしてPlekhg1の欠損が腸管腫瘍形成に与える影響に統計的意義があるかどうか検証中である。 PLEKHG1のN末部分(アミノ酸1~110)を大腸菌で発現させ精製したタンパク断片をモルモットに免疫し、得られた抗血清からPLEKHG1に対する抗体を、抗原タンパクカラムを用いてアフィニティ精製した。得られた抗体を用いてウェスタンブロットを行い、HEK293細胞で高発現させたヒトおよびマウスPLEKHG1を認識することを確認したが、内在性のPLEKHG1を検出することはできなかった。 PLEKHG1と14-3-3ζとがPLEKHG1のSer 611のリン酸化依存的に結合することを既に見出していた。このSer 611はその周辺配列からAktによりリン酸化される可能性が考えられたため、Aktによってリン酸化された基質を認識するリン酸化Akt基質抗体を用いてIP/WB解析を行った。免疫沈降したPLE阻G1はこのリン酸化Akt基質抗体によって認識されること、そのシグナルは、活性型Aktを発現させることで顕著に増強したがキナーゼ活性を失ったAktでは増強されず、またSer 611をアラニン残基に置換することにより顕著に減弱した。これらの結果から、PLEKHG1はAktによってSer 611にリン酸化を受け、14-3-3と結合することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は平成22年12月.に現所属に着任した。平成23年7月にようやく遺伝子改変マウスを前任地の京都大学から移送できたこと、新しい研究室の立ち上げに伴って実験ができる体制を整えるのに想定よりも時間を要したことなどから、当初の計画からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究体制はほぼ整ったので遅れを取り戻したい。良性の腺腫性ポリープを発症するApo変異マウスに加えて、浸潤性の腸がんを発症するcis-Apc/Smad複合変異マウスとPlekhg1変異マウスとの交配を行い、大腸がんの浸潤、転移におけるPLEKHG1の役割を評価する。また、PLEKHG1がAktによりリン酸化に依存して14-3-3に結合することが強く示唆されたので、PI3-kinase/Akt経路によりPLEKHG1がどのような制御を受けているかについて集中的に研究する。内在性のPLEKHG1を認識する抗体については、最近新たに入手可能となった市販の抗体の使用、異なる抗原部位を用いての免疫などを含めてさらに検討する。
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Research Products
(10 results)