2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23300353
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
堺 隆一 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40215603)
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Keywords | 神経芽腫 / Anaplastic Lymphoma Kinase(ALK / チロシンリン酸化 / 質量分析 / 細胞運動能 / エンドサイトーシス / 転移能 / Flotillin-1 |
Research Abstract |
神経芽腫細胞の発生にALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)の遺伝子増幅や遺伝子変異による活性化が関わることが示され、新しい治療の標的として注目されているが、ALKがどのようなシグナル分子を介して神経芽腫の特徴的な病態を引き起こすのか詳細はわかっていない。この研究では神経芽腫においてALKと結合してチロシンリン酸化を受ける基質分子を質量分析により同定して、その中で神経芽腫の発生や性質に関わる分子を機能解析から明らかにすることを目的に研究を開始した。TNB-1神経芽腫細胞に、野生型および2種類の変異型ALKをタグ付きで発現させ、タグと抗リン酸化チロシン抗体で精製した後、質量分析で同定した。得られた約20の候補分子のうち、実際に特異的抗体を用いてALKとの結合が認められ、ALKの阻害剤に寄ってチロシンリン酸化が阻害されることが確認できた2つの分子について先行して解析を進めた。そのうちFlotillin-1(FLOT1)は細胞膜上のラフトに局在し、エンドサイトーシスに関わることが知られていたため、ALK蛋白質の分解に関わる可能性を考えた。蛍光染色でFLOT1はラフトおよびエンドソームと考えられる細胞質内の顆粒においてALKとの共局在が認められた。神経芽腫細胞においてFLOT1の発現をRNAiで抑制すると膜上のALK蛋白質の量が著明に増加し、同時に細胞の運動能・浸潤能が上昇した。神経芽腫で見られるALKの変異のうちF1174Lなど幾つかにおいて、変異型ALKとFLOT1との結合能が野生型に比べ著明に減少しているのが確認され、このような変異によりALK蛋白質の安定性が増すことでがん化シグナルの活性化につながっている可能性が示唆された。マウスを用いたin vivoのモデルを用いて、FLOT1によるALKの分解の程度が神経芽腫の造腫瘍能、転移能に与える影響を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
質量分析でALK結合タンパク質として同定された分子のうちFLOT1の機能が、ALKのがんにおける安定化やがん化シグナルと密接に関わることが明らかになった。このような重要な分子を見出し機能解析まで進められたことは計画より早いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
FLOT1のin vivoでの神経芽腫形成に対する役割と、そのシグナル経路を介した治療モデルの作成に進めていくと同時に、ALKとの結合分子として同定されたSH2Bなど他の分子についても機能解析を行う。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Cancer susceptibility polymorphism of p53 at codon 72 affects phosphorylation and degradation of p53 protein2011
Author(s)
Ozeki C, Sawai Y, Shibata T, Kohno T, Okamoto K, Yokota J, Tashiro F, Tanuma S, Sakai R, Kawase T, Kitabayashi I, Taya Y, Ohki R
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 286
Pages: 18251-18260
DOI
Peer Reviewed
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