2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析手法を用いた腫瘍及び細胞分化関連miRNAの生命情報学的同定技術の開発
Project/Area Number |
23300357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田口 善弘 中央大学, 理工学部, 教授 (30206932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 純 東北大学, 医学(系)研究科, その他 (00281684)
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Keywords | miRNA / ES細胞 / 髄芽腫 / 細胞老化 |
Research Abstract |
miRNAは細胞の分化、ガン化などにおいてキープレーヤーであることが近年非常に注目を集めている。機能的にはseed領域と呼ばれる塩基配列で個々のmiRNAごとに標的遺伝子が決まっていることが知られているが、標的遺伝子の決定は主に情報生物学的な推定に頼っており、実験的に効率よく決める方法が存在しない。これは、種ごとに数千のmiRNAが存在し、個々のmiRNAが数百の遺伝子を標的としているためであり、網羅的な実験とその情報生物学的な解析がどうしても必要になる。 従来、個々のプロセスで重要なmiRNAの選択は、発現量の変化に基づいて決められていたが、発現量の変化が有意であるmiRNAは多数有り、それだけでは実験的に重要なmiRNAを選択するのは難しい状態であった。本研究計画では、miRNAの標的であるmRNAの発現の変化から、標的遺伝子の発現を実際に制御するmiRNAを推定するアルゴリズムを提案し、これをMiRaGE(MiRNA Ranking by Gene Expression)と名づけた。 当該年度の研究成果は以下の通りである。 1.髄芽腫形成過程に於ける重要なmiRNAを推定 2.ESから神経細胞に分化する際に重要なmiRNAを推定 3.細胞老化に於いて重要な遺伝子を推定 またこの手法を一般に供するため、MiRaGE Serverというサーバを公開すると共に、Bioconductorと呼ばれる発現解析ソフトウェアリポジトリに同手法を移植したソフトウェアを登録した(現在審査中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNAの標的遺伝子発現制御の推定の精度を大幅に向上させることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
精度向上は果たせたものの、なんでもいいわけではなく、細胞老化の場合の予測精度は細胞分化やがん化の場合の予測精度を大きく上回った。トランスフェクション実験の精度も高かったことから考えると、状態が大きく変化しない場合の方が予測精度が良いことが期待される。しかし、がん化や細胞分化の場合もまったくはずれているわけではないので、手法の適応限界をより難しい問題(種間比較など)の解析を通じて見極めることで、がん化や細胞分化におけるmiRNAの役割をどの程度まで予測できるかを見極めたい。これだけの実験を予算の範囲で行うのは不可能であるので、GEOなどに公開されているパブリックドメインのデータを主に解析することに移行することで手法の精度の見極めを図る。
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