2012 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析手法を用いた腫瘍及び細胞分化関連miRNAの生命情報学的同定技術の開発
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23300357
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田口 善弘 中央大学, 理工学部, 教授 (30206932)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | microRNA / プロモーターメチル化 / 細胞老化 / 前頭葉 / 側頭葉 / 橋 / 小脳 |
Research Abstract |
※miRNAによる標的遺伝子の制御と細胞老化の関係を解明して、論文として発表した。従来は、細胞老化において大きく発現が変化するmiRNAを選択することで細胞老化に関係している遺伝子を同定していたが、非常に多くのmiRNAの発現が変化しており、絞り込みが難しかった。今回、miRNAによる標的遺伝子の発現制御を調べることで、より少数個のmiRNAが細胞老化に関わっていることを示すことに成功した。 ※miRNAの標的遺伝子において、miRNAの標的特異的なプロモーターメチル化が生じていることを確認した。また、細胞老化と幹細胞からの分化では、miRNA特異的なプロモーターのメチル化と、標的遺伝子の発現の下降/上昇があべこべであることを見出した。 ※miRNAの標的遺伝子において、miRNAの標的特異的なプロモーターメチル化が脳の部位(前頭葉・側頭葉・橋・小脳)の間で生じていることを示した。 ※miRNAの標的遺伝子のmiRNAの標的特異的なプロモーターメチル化とmiRNAの発現の変化が、協同的に標的遺伝子の発現を制御していることを確認した。miRNAの標的遺伝子のmiRNAの標的特異的なプロモーターメチル化を考慮しても、標的の発現変化と相関した発現の変化をしているとみなせるmiRNAを部位間の発現変化ごとに特定した。これらのmiRNAが標的とするKEGG Pathwayを推定したところ、脳の機能に深く関連したpathwayが非常に多数、標的となっていることを見出した。また、部位間ごとに特定されたmiRNAはばらばらだったにも関わらず、pathwayは共通であることが見出された。 ※また2011年度の研究成果であるmiRNA標的遺伝子の発現制御予測アルゴリズムを国際的なバイオインフォマティクスのソフトウェアリポジトリであるBioconductorに登録した(「備考」の項参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度には標的遺伝子の発現からmiRNAによる標的遺伝子の発現予測を行うアルゴリズムMiRaGE法を開発し、WEBサーバーとして、また、国際的なバイオインフォマティクスのソフトウェアリポジトリであるBioconductorにパッケージとして収録した。さらに2012年度は、miRNAの標的遺伝子のプロモーターが、miRNA標的特異的にメチル化していることを見出し、また、これらが実際に標的遺伝子の発現制御にどう関わっているかを解明した。 これは当初の目的である、miRNAによる標的遺伝子の発現制御を、他のエピジェネティックな発現制御機構との関連で解明していくという目的に合致しており、研究の遂行は非常に順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
miRNA標的遺伝子のプロモーターメチル化がmiRNA標的特異的であること、また、このメチル化が標的遺伝子の発現制御を大きく影響していることを見出したことから、miRNAによる標的遺伝子発現制御機構に迫ることができている。 本年度はこの知見をガンを含めたより広い対象へと拡張していく。具体的には、ガンのメチル化に関する多数のデータベースの内容を使う。 また、プロモーターメチル化以外の、ヒストン修飾などのエピジェネティクなマーカーとmiRNAの標的であることの関連なども調べていきたい。
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